「オンの状態」が続くと自律神経が疲労困憊する

会社での仕事モード、いわゆる「オン」の状態と、会社を出た後の「オフ」の状態の切り替えを、多くの人はメリハリとして考えています。

このオン状態は、緊張状態と考えることができます。ときに、Bさんのように、職場以外でも気持ちのうえでの緊張状態が続いている人がいます。家事や育児などで帰宅後も忙しない時間を過ごしている人によくみられます。

そうした人たちは、常に精神的な緊張が高く、時間に追われているにもかかわらず、それを自覚していません。このような状態が続くことで自律神経が疲労困憊こんぱいし、潰れてしまうことが少なくありません。

すると次第に、「普通のお母さんはできているのに私はできていない、できないのは私が怠け者だから」と思うようになります。それが続くと、やらなければならないことへの責任感、できないことへの罪悪感が積もり積もって、自責の念に囚われてしまい、本格的に体調を崩してしまうのです。

キッチンで料理をする母
写真=iStock.com/kohei_hara
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Bさんには、日中は仕事スイッチがオン、帰宅後は家事育児スイッチがオンの緊張状態が続きすぎていること、この状態が続けば疲れが溜まるのも無理はないと説明し、ご主人と相談してお互いにオフの時間、つまりは自分の気分転換の時間を設けることを提案しました。また、4月以降の不安要素については、それぞれの場合、実際にどう対処するか、具体的な計画を立てることをお願いしました。

子供の中学入学、妻の仕事復帰が重なり不安に…

3人目は、2月に動悸どうきの相談に来られた社歴10年以上のベテラン40代男性社員のCさんです。

Cさんは社内では比較的裁量度が高い管理職のポジションにつき、ここ3年間は社内異動もなく、人事評価(業績評価)も問題なく、ストレスなく働いていました。毎月の残業時間は80時間すれすれでしたが、10年以上ずっとそのように働いてきたので、労働時間自体は「これで普通」とのことでした。

私生活では、お子さんが4月から中学に進学すること、それを機に奥様が働き始めることになっているとのことでした。いずれも家族内でよく話し合って決めたことであり、不平不満はないとおっしゃっていましたが、よくよく聞いてみると、4月以降、ご家族の生活に起こり得る変化に対して、心配しすぎているようでした。

お子さんの通うことになる中高一貫校は片道1.5時間ほどかかること。中学ではクラブ活動を頑張りたいというお子さんを応援したいが、そうすると毎日の帰宅は20時を過ぎ、そこから食事やお風呂、疲れた状態での勉強などできるのだろうか、朝練があれば家は6時台に出ることになり、起床やお弁当は大丈夫なのだろうか云々、考えれば考えるほど、どうしていいか分からなくなってしまうようです。