嫌われない感覚を身につければずっと使える

それと同じく、プリの撮影時に流れる音楽も同じスタンスでつくっています。流行の音楽をアレンジする場合も、オリジナルでつくるときもありますが、参考にするのは、できるだけ幅広い層に受けそうな曲です。

たとえば、2007年頃は、クラブミュージックやパーティーチューンのBGMがほとんどでした。これはそうした曲が多くの女の子に受け入れられる時代だったからです。今もこうした曲を好む女の子もいますが、多数ではありません。ですから、現在はこのような曲を使うことはほとんどありません。

稲垣涼子『カワイイエコノミー』(日経BP)
稲垣涼子『カワイイエコノミー』(日経BP)

最近は邦楽や、楽しくてテンションがあがる曲が人気なので、そうしたBGMが自然と多くなっています。たとえば、YOASOBIの楽曲をイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。そうした曲からヒントを得ています。反対に一部の女の子には熱狂的な人気があるけれども、層の広がりが少ない曲はあまり参考にしません。もちろん、モデルや音楽を使わない商品でも考え方は同じです。製品のデザインや広告をつくる場合でも、尖りすぎると顧客を選んでしまいます。

決めたコンセプトの中で、「対象ユーザーはなるべく広く」と考えることが商品開発では重要です。少しずつの気づかいが大切です。そういう意識があると、事業活動にも広がりが出てきます。

この「嫌われない」ポイントを身につければ、自分が何歳になっても、あるいは他の市場でも横展開できます。

以前100円ショップのDAISOを手がける大創産業と雑貨のコラボ開発を実施し、非常にご好評をいただきました。また、フリューのグループ会社から「Olu.」というライフスタイルECも2021年10月にリリースしたのですが、お客様の反応は上々です。一度コツをつかむとずっと使えるのが、この「嫌われない」感覚です。

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