しいたけ占いは、心に優しいし「よく効く」
心の健康を保つためには、サイエンスや政治・経済の言葉や説明だけでは、足りないのです。理不尽な状況におかれて、人は静かに祈る時間や、超越的な視点から、現実を説明してくれる「物語」を必要とします。
つまり、スピリチュアリティの言葉や超越的な視点での解釈フレームが、求心力を持ち始めるんですね。
私も、セルフケアとして瞑想をしたりすることもあるのですが、ふと、「あの先輩の病気が治るといいな」などと「祈り」に近いことをしていると、なぜか自分もすっと楽になる瞬間があり、祈るような時間がいかに精神衛生上重要かは実感しています。
また、私は『VOGUE GIRL』の「しいたけ占い」が好きなんですが、あれは「占い」といっても、よく読むと、ほとんどが「励まし」の言葉で書かれているから、心にすっと入ってくるわけですね。
本当にしいたけさんの文章は、心に優しいし「効く」と思います。
スピリチュアルというと、すぐ死後の世界とか、怪しげな霊感商法とすぐ結び付くイメージがありますが、ここでいうスピリチュアルは、より広いライフスタイルに関連した知恵を指します。
スピリチュアルと賢くつき合う
実際に、スピリチュアルなものと、賢くつき合っている人たちも多くいるのです。好むと好まざるとにかかわらず、コロナ時代に、スピリチュアルは、セルフケアのコアになりつつあると感じます。実際、統計的にも、面白い傾向が見られます。
例えば、NHKが定点観測的に調査しているデータに「現代日本人の意識構造」がありますが、戦後からの傾向では「宗教心は失われているけれど、スピリチュアルへの関心は高まっている」ということが見て取れるんですね。
これは、生活者の実感としても、よくわかる傾向です。お葬式とか、お墓参りなどの時じゃないと、普段からお寺に行ったりしないけれども、仕事運とかを気にして、ちょっとした占いを受けたり、旅行のついでに神社に寄って、お参りをしたり、お守りを購入したりしますよね。
それも広義のスピリチュアリティだと捉えてみれば、その需要は高まっているのです。
VRやARを使ってヒーリングを行う魔女たち
一方、欧米や中国でも、これらのスピリチュアルのブームが盛んに起こっていて、若い人たちから熱烈な支持が集まっているのが現状です。
面白いのは、従来の占星術などのメソッドに、ITや、サイエンスの知見が融合した新たなサービスが生まれ、人気になっていることです。
例えば、占星術アプリの「Co-Star」は、アプリに生まれた日時と場所を入力すると、NASAが公開している衛星の軌道のデータを読み込み、リアルタイムにユーザーの「運勢」が刻一刻と変わっていく様子を配信するサービスを提供しています。高度なサイエンスと、スピリチュアルの融合です。
また、雑誌『WIRED』は、現代に生きる「魔女」に関して、リスペクトを持って紹介しています。
記事によれば、アメリカ西海岸で、現代の魔女活動をしている人たちは、最新のテクノロジーのVR(仮想現実)やAR(拡張現実)を使って、ヒーリングなどを行っているそうです。
もともと、VRの技術は、西海岸のヒッピーや、サブカルチャーの牽引者たちが構想した技術だったことを考えると、一周回って、今を生きる魔女たちが、西海岸でVRを使って儀式を行っているのは、さもありなんです。