第一印象は「オンラインRPGは嫌だなぁ」
僕自身は初代ドラクエから、ほぼすべてのナンバリングタイトルをプレイしている。
僕がドラクエXの情報を知ったときの第一印象は「オンラインRPGは嫌だなぁ」だった。僕以外にも「ドラクエシリーズは好きだけど、オンラインはちょっと……」という声を上げている人は少なくなかったと思う。
オンラインRPGというと、どうも毎日何時間もプレイし続けないとゲームについて行けず、初心者プレーヤーへのあおりや詐欺行為、暴言やアカウントハックなどが飛び交う無法地帯という印象が強かった。
また、僕にとってドラクエは、初代ドラクエをプレイし始めてからずっと「ひとりでゆっくり遊ぶゲーム」であり、オンラインで面白くなるという可能性を理解できなかった。
だからこそ、発売されたときは「当面スルーかな」と考えていた。とはいえ、バージョン1サービスイン時の対応ハードであるWiiも持っていたし、「ドラクエだし、イメージどおりのひどいことにはならないだろう」と考え、サービスインから1カ月後くらいから思い切ってプレイを始めてみたのである。
ドラクエらしい壮大なストーリーは健在
プレイを始めてみると、オンラインといえどやはりドラクエはドラクエだった。楽しくてドキドキするメインストーリーと広大なフィールドで、存分に冒険して楽しむことができた。
個人的に一番好きなのはバージョン4のストーリーである。ドラクエXの冒険の舞台となるアストルティアの過去と未来を巡りながら、必然的に訪れる滅びの運命を回避する方法を探すという壮大なストーリーとなる。もちろん詳細は避けるが、故郷や家族や仲間といった存在に対するさまざまな想いの在り方がつづられていく。
特にバージョン4の主要登場人物のひとりである「クオード」の物語は心に強く残っている。クオードはやや強引で独りよがりなところはあるが、姉を慕い他人に偏見を持たず、評価の低い人間であってもその良いところを見極められる、正義感の強い少年だった。世界が平和なままであったならば、彼は父でありエテーネ国王であるドミネウスの跡を継いで、立派な王として治世を行ったであろう。
しかし約束された滅びの運命は彼の人生をも翻弄した。主人公と共に父親の悪行に鉄槌を下したはずのクオードは、別の時代で再会したときにはすっかり変わり果ててしまっていたのである。どのように変わり果てたかは実際にゲームをプレイしてほしいのだが、僕は彼の境遇に大変に同情するとともに、一方でそのこだわりが多くの人たちを巻き込み、運命を変えてしまったことに怒りも覚えた。
そんな彼の変貌は、主人公が持つ「時渡りの力」や、主人公の兄弟姉妹が持つある秘密とも強く関係しており、主人公とパラレルの関係を成す1つの可能性であったとも感じられた。この「時渡りの力」は主人公が持つ特別な力としてバージョン1から存在は知っていたが、バージョン2、3ではほとんどストーリーに関わってこなかったので、エテーネ村に育った主人公とエテーネ王国との関係性が強く示唆された時は興味を引かれた。
そしてバージョン4のラスボスを撃破し、滅びの運命から逃れると、世界に大きな変化が発生する。この変化にもとても驚かされた。