お金は人生の目的ではなく、手段である。そう父親に教わった投資家のジョージ・ソロスは巨富を築いた晩年に「14歳のときが人生で最も幸福だった」と語っている。彼は人生に何を求めていたのだろうか。作家の橘玲氏が解説する――。

※本稿は、橘玲『裏道を行け ディストピア世界をHACKする』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。

2017年4月27日、投資家のジョージ・ソロス
写真=AFP/時事通信フォト
2017年4月27日、投資家のジョージ・ソロス

危険な1944年が「人生で最も幸福だった」

「ヘッジファンドの帝王」と呼ばれるジョージ・ソロスは、1930年にハンガリー、ブダペストのユダヤ人家庭に生まれた。後年のインタビューでソロスは、14歳だった1944年を「人生で最も幸福」な時期だったと語っている(※)