メンターとの出会いを活かし、相手に「成長をサポートしてあげたい」と思ってもらうにはコツがあります。自分よりも年齢や地位が上の人に対して、素直に尊敬の念を持ち、優れたところに感心する力を持つことです。私自身、若い方々と接していると、年長者を批判的に見て斜に構えている人はすぐにわかります。
メンターを見つけるのは簡単ではありません。直属の上司だと利害関係があるでしょうし、他部門の先輩には相談をしにくいものです。たとえば元の上司なら、かつてのあなたの仕事ぶりを見ていますから、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
その意味でも、元の上司や同僚とのネットワークを維持することは大切です。年賀状を送る、異動のときに挨拶をするという程度でかまいません。同じ組織の中にいてしょっちゅう飲んでいる固いネットワークより、他の組織にまたがった、ゆるやかな「ソフトネットワーク」のほうが、何かのときに役立つことが多いものです。
若いうちからこうした人とのつながりを大切にしておくと、40代くらいになって効いてきます。人間関係も、短期的な結果を求めず長期的な視野を持って育ててほしいと思います。
入社して2、3年の頃はまだ一人前ではないものですが、20代後半くらいになると少し仕事の様子がわかってきます。多少責任のある仕事を任されることもあるでしょう。この世代は一番焦りがちな時期ですが、心を落ち着けてしっかりとキャリアの土台づくりをしてください。
ここで「逃げ癖」をつけてはいけません。この時期はまだ体力もありますし、少しはハードな仕事をこなす経験をしておいたほうがよいでしょう。チームの一員としてしっかり力をつけるのです。とことん頑張った経験を持っておくと、今後壁にぶち当たったときに乗り切ることができます。
意識的にキャリアデザインをしておくこともお勧めします。「グローバルな仕事がしたい」くらいのざっくりしたものでかまいません。そのために自分に足りないスキルを考え、それを補う努力をしましょう。
異動や留学など社内で自身の希望を通そうとする際、女性がやってしまいがちなのは「自爆型行動」です。有能な女性ほど個人の希望を溜め込んで、我慢できなくなったところで「認めていただけないなら辞表を出します!」などと爆発してしまうのです。相手にしてみれば、それほど思い詰めていたことを知らないために驚いてしまいます。「将来こんなことをしたいと夢見ています」と、いろんな機会にやんわりと伝えておくのがよいでしょう。