40代になると、自分自身が成果を出すこと以外に、部下を育てることが求められるようになります。難しいのは「叱り方」です。ここでも女性によく見られるのが、溜めてしまうことです。「女性がしょっちゅう叱っていると、ヒステリーだと思われるのではないか」と考え、普段は見て見ぬ振りをして、我慢できなくなったときに爆発させてしまう。そしてつい、過去にさかのぼって「あのときも、このときも」と思い出して怒ってしまうのです。

叱るのは相手のためですから、溜め込まないでその都度言いましょう。我慢していると最終的には感情的な怒り方をすることになってしまいます。

若い人は教えたり叱ったりするだけの対象ではありません。逆にこちらが教わることもあります。

先日アメリカに行ったとき、親しい友人から聞いたおもしろい言葉に“rebirth coach”というものがあります。自分を生まれ変わらせ、再生してくれる人を大切にすべきだというのです。歳をとると、自分の性格や興味を決め付けて守備範囲を狭めてしまいがちです。だからこそ一層好奇心を持って、知らない分野について教えてくれる若い人を大切にしましょう。

女性にとって、10年先、20年先のキャリアパスを描くことは難しいことかもしれません。結婚や出産のタイミングも自分一人では決められないものです。こういった厳しい経済環境では、なおさら難しいと感じるでしょう。でも、だからこそ夢を描いてほしいと思います。

夢は現実的なものである必要はありません。「いつまでに何をすべき」という、将来を線引きしてしまうような計画は、自分の未来を狭くしてしまいます。

その通りにならなくてもいいのです。必要なのは、自分を励ますための楽観的な未来図です。夢を持っているかどうかが、何かあったときもうひと頑張りがきくかに大きく影響します。夢はなかなか実現しないものではありますが、夢にさえ描かないことには実現しませんから。

(構成=大井明子 撮影=向井 渉)