D2Cはそもそも中間流通業者を挟まないビジネスモデルのため、利益率が高く、価格決定権がメーカー側にあることが特徴だ。

またD2Cメーカーは消費者からの意見を吸い上げやすく、商品改善サイクルが早いことが従来のメーカーの新商品開発体制との大きな違いである。

ターゲット消費者もミレニアルやZ世代といったデジタル世代を中心に拡大をしているD2Cは消費者の多様なニーズを捉え、次々と新ブランドが市場に誕生している。

追い打ちをかける中国メーカーの躍進

このように市場での存在感を増しているD2Cメーカーだが、当然この流れは日本国内に限った話ではない。世界中でD2Cメーカーによる市場開拓が進んでおり、中国をはじめ海外のD2Cメーカーは日本へと越境してきている。

中国は安い人件費を武器に単価を下げた商品ラインナップで、ジリジリと日本への越境ECを展開してきた。10年以上前は、中国製品というと「粗悪品」「盗品」「コピー」などと否定的なイメージを抱く消費者が多かったであろう。

しかし今では、このような商品は大幅に減ってきており、日本の家庭では、雑貨をはじめ、服やパソコンのマウスに至るまで中国からの逆・越境EC商品という事態になっていることに気づいているだろうか。

低人件費で商品の単価を極限まで下げる一方で、商品の品質を徐々に“まとも”にさせ、日本国内に着実に浸透してきている。

今やこの種の低価格品の大半は中国からの越境ECによってもたらされていて、日本のAmazonでは約4分の1を中国製品が占めてしまうことになったわけだ。この状況を日本企業が巻き返すのは容易ではない。

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中国と日本のメーカーの決定的な差

なぜ中国メーカーの品質が向上してきているのか。国策をはじめいくつかの理由があるが、ここではメーカーとして日本との大きな違いをピックアップする。

中国メーカーのモノづくりは、日本従来の完璧品質を求めるモノづくりとはスタンスが全く異なっている。最初から完全なものを作ろうとはせず、未完成な状態で市場に投入をして、後から改善をしていく考え方である。

何よりも市場に投入するスピードを重視し、そして消費者の声を取り入れながら改善を繰り返していく。当然改善の速度も圧倒的で高い頻度で繰り返される。永遠のベータ版をリアルなモノづくりで行っているのだ。

また中国のEC市場規模は世界ランキングのトップである。

ECだけでなく、ライブコマースなどの新しい販売チャネルも発展しており、SNSを活用した消費者とデジタルで直接つながるマーケティングノウハウも、豊富に持ち合わせていることも中国メーカーが強い理由だ。