物事をスマートに断るにはどうすればいいのか。明治大学文学部の齋藤孝教授は「何でも正直に伝えればいいわけではない。日本人には『角が立たないように断る』言葉の技術がある。それを覚えておくといい」という。セブン‐イレブン限定書籍『人生を変える「超」会話力』からお届けする――。

※本稿は、齋藤孝『人生を変える「超」会話力』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

女性は一緒にコーヒーを飲みながらおしゃべりを楽しんだ
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“噓も方便”が通用しない時代の「断り方」

語彙力は、会話をスムーズに進めたり、人間関係に配慮しながら伝えづらいことを言ったりするのに役立ちます。

ここでは、シチュエーション別に使える便利な表現をいくつか紹介しましょう。

むかしから、日本人には「角が立たないように断る」言葉の技術があります。

例えば、なにかの誘いや仕事を断るとき、「日程的に難しい」と言ってしまうと、相手は「日程さえ調整すればいい」ととらえかねません。

そんなときはまず、「条件面をいちど検討させていただきます」と返します。そうして検討した結果、「やっぱり難しいです」「またぜひお声かけください」と段階を踏めば、角を立てずに関係性をつないでいる感じになります。

「関係は続けたいけれど、今回はどうしても都合が合いません」とにごすわけですね。

むかしは「噓も方便」が通用しましたが、いまの時代は難しくなりました。なぜなら、SNSなどで噓が簡単にばれてしまうからです。

「都合が悪いといったのに、SNSを見たら遊んでいるし……」、みたいなことは、案外起こりがちではないでしょうか。SNSでなくとも、あちこち掘り返せばたいていどこでなにをしていたかくらいはわかってしまいます。

そこで、できるだけ正直に振る舞うには、「これから」のことを言うと断りやすくなります。

「○○の予定がこれから入りそうなので」と言って断ると、たとえ予定が入らなくても噓をついたことにはならないので、関係性を傷つけずに断れます。

また、代案を出すのも手でしょう。「○○のかたちでしたら大丈夫です」と別の選択肢を示し、自分がより快適な状況になるよう、逆に提案するやり方もあります。