邪推も詮索もさせない「諸事情で…」

さらに、「諸事情」という便利な言葉をぜひ覚えておいてください。

これは履歴書や退職願などに使われる「一身上の都合で」と似た表現で、「諸事情で」と言われると、人はそれ以上の理由を詮索しづらくなります。

「それ以上聞いてくれるな」という意味が含まれる玉虫色の表現ですが、大人の日本人なら覚えておきたい語彙です。けっして噓をついているわけではなく、ただ理由をあいまいにしているだけなので、お互いに嫌な気持ちにもなりません。

「家庭の事情で……」というと変な想像をされがちだし、「体調が悪くて……」も、余計な想像をさせるためあまりいい断り方とはいえません。

理由を正直に伝えると、ときに誰かを傷つけたり、自分を追い詰めたりする場合もあります。そんな言いづらいことを伝えるとき、もし今後に希望があるなら、「今回は諸事情で残念ですが、次回またご相談させてください」などといえば、相手は「今回は合わなかったけれど、まだ次があるんだ」と前向きに思えます。

理由をあいまいにしながらも、さらりときれいに断るために、「諸事情がありまして」を覚えておきましょう。

お友達とカフェのテーブルでコーヒー休憩中に話しています
写真=iStock.com/Comeback Images
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自慢話には「肯定してぼかす」

世の中には、自慢話が好きな人はいるものです。あるいは、ふつうの話をしていたはずが、いつのまにか相手の自慢話を延々と聞かされている場合もあります。そんなときはどうすればいいのでしょう?

まず注意したいのは、「凄いですね」「それはおめでとうございます」などとほめてしまうと、相手の会話のスイッチが入ってしまい、しばらく自慢話を聞かされるはめになりがちなことです。

かといって、「そうなんですか」とそっけなく答えると、それはそれで聞き手としてノリが悪く、失礼な返答にあたる場合もあると思います。

そこで覚えておきたいのが、「それはよかったですね」とぼかして答えること。これなら相手を肯定しているので失礼にならないうえに、少しあいまいな感想でもあるので、相手も自慢話をそれ以上続けにくくなります。

大人同士の会話では、場合によって自慢話でマウンティングしてくるような人もいます。そんな不快な思いやいさかいを避けるためにも、スマートに自慢話をかわしていく表現も身につけましょう。