反対だったはずのNTTドコモが「電波オークション賛成」に転進

携帯電話料金の値下げ競争が、早々に終幕を迎えるかもしれない。

首相官邸を訪れた菅義偉前首相(左)を出迎える岸田文雄首相=2021年11月11日、首相官邸
首相官邸を訪れた菅義偉前首相(左)を出迎える岸田文雄首相=2021年11月11日、首相官邸(写真=時事通信フォト)

岸田文雄政権は、菅義偉前政権が目玉政策として推進してきた携帯電話料金の「官製値下げ」を引き継ぐと明言していたが、携帯電話の周波数の割り当てを競売で決める「電波オークション」が現実味を帯び、にわかに雲行きが怪しくなってきたのだ。

総務省が導入に向けて検討を開始したところ、これまで反対一色だった通信業界から、最大手のNTTドコモをはじめ賛同する意見が飛び出し、状況が一変した。

競売となると落札価格が高騰して料金にハネ返るといわれるだけに、「電波オークション」の導入は「官製値上げ」につながりかねない。

多くの利用者がまだ「官製値下げ」の恩恵を実感できずにいる中、岸田政権の得意技である「聞く力」が利用者に向かわなければ、値下げ競争は早々に打ち止めになってしまう。

規制改革推進会議が迫った「電波オークション」とは

これまで、通信や放送の電波の割り当ては、総務省の裁量による「比較審査方式」で行われてきた。事業者が提出した事業計画を元に財務状況や基地局整備のスケジュールなどを見比べ、電波の免許を与えるのにふさわしいとみなした事業者を選ぶ仕組みだ。

既存事業者や新規参入組のバランスをにらみながら公正競争を確保するため、折々の政策的判断により決定されてきた。ただ、主観が入りやすく「美人コンテスト」と揶揄されることもあった。

これに対し、「オークション方式」は、競争入札でもっとも高い金額を提示した事業者に電波を割り当てる仕組みで、つまるところ政府に多額の資金を納入させようというものだ。当然のことながら、資金力の豊かな事業者が有利になるといわれている。