医師に勧められたとおり、障害年金を請求しようと思ったが…
筆者が黙ってうなずくと、母親は話を続けました。
「最初は自分たちだけで何とかしようと頑張りました。でも障害年金は提出すべき書類が多く、それぞれの書類にどのような記入すればよいのか素人の私たちにはよくわかりません。中途半端な状態で提出してしまうようなことは絶対に避けたいと思っています。そこで専門家の方に依頼することに決めました」
「なるほど。ご事情はよくわかりました。私でよければご協力いたします。ですが、専門家が関わったからといって必ず障害年金が受給できるものではありません。その点はご理解ください」
「はい、その点は大丈夫です。それでも専門家の方にサポートいただけるというだけで大変心強いです」
母親は鞄の中に手を入れ、書類の束を取り出し机の上に置きました。
障害年金の請求には医師の診断書の他、さまざまな書類をそろえる必要があります。特に母親の頭を悩ませている書類は「病歴・就労状況等申立書」というもの。この書類には発病(体調を崩した頃)から現在までの状態を記載していきます。長男はとても記載できる状態ではないので、母親が代わりに記載することに。
しかし「一体何をどのように書けばよいのか」がわからず、一歩も動くことができませんでした。母親には「早く請求しなければならない。でもどうすることもできない」といった焦りの気持ちが大きくのしかかり、夜もあまりよく眠れない状態が続いていたそうです。
筆者は書類の束から病歴・就労状況等申立書を探し出し、手に取りました。
「この書類には医師の診断書には書ききれないお子さんの症状や様子をできるだけ詳細に記載していきます。診断書と同じくらい重要な書類なので、ポイントを押さえて簡潔に記載する必要があります。もちろんこの書類は私が代筆しますのでご安心ください」
筆者はそう説明し、母親から長男の症状や様子を聞き取ることにしました。