相手の重視している項目を先に持ってくる
ちなみにこの「ソラ・アメ・カサ」は順番ではなくセットで伝えればいいので、順番は問いません。むしろ、前項でお伝えしたように、コミュニケーションにおいては「相手の重視している話を先にする」のが基本です。「ソラ・アメ・カサ」のうち相手が一番気になるものを最初に持ってくればいいのです。
ソラ「お客様が来ない(事実)」
アメ「来月にはお店が潰れそうだ(解釈・判断)」
カサ「銀行から追加融資してもらおう(打ち手)」
少し暗い話題で恐縮ですが、この例をもとに考えてみましょう。もし、相手がいち早く経営状況を知りたいのならば、
アメ「来月にはお店が潰れそうだ(解釈・判断)」
ソラ「(なぜなら)お客様が来ない(事実)」
カサ「(なので)銀行から追加融資してもらおう(打ち手)」
と伝えればいいのです。
あるいは、「結局、どうするのか」に関心があるのなら、
カサ「銀行から追加融資してもらおう(打ち手)」
ソラ「(なぜなら)お客様が来ない(事実)」
アメ「(なので)来月にはお店が潰れそうだ(解釈・判断)」
と伝えるのです。
この「ソラ・アメ・カサ」を口癖にしておけば、格段に「話が通じやすくなる」のでぜひ使ってみてください。
“報連相”の致命的な欠陥
30代は部下や後輩から報告を受けるとともに、上司に対して報告をしなくてはならない立場でもあります。その際のコミュニケーションのコツとして、「報連相」という言葉がよく使われますが、報連相には致命的な欠陥があります。
前項で紹介した「ソラ・アメ・カサ」と報連相を照らし合わせてみると、その理由が見えてきます。
報連相「ライバル企業が我が社より安い見積もりを提案してきました。どうしたらいいでしょうか?」
ソラ「ライバル企業が我が社より安い見積もりを提案してきました」
アメ「⁇」
カサ「今すぐ打ち手を検討したいと思います」
「報告」も「連絡」も、結局は「ソラ(事実)」を伝えるということです。そして、「相談」で打ち手(カサ)の話し合いをするわけですが、アメ(解釈・判断)が抜けてしまっているのです。
すると、上司は部下からの報告を踏まえ、状況を自分なりに解釈・判断し、どうするかという打ち手を部下に伝えることになります。しかし、上司の解釈・判断(アメ)はあくまで上司の頭の中にだけ存在するため、部下としてはなぜその打ち手になったのかは想像するしかありません。結果、意図のズレが発生しやすくなるのです。