ターゲットに対して強みを最大限に生かすことで成功した

では、この不を軸に、コストコの強みを考えてみましょう。

○不便:車で行けないと不便→アクセスしやすく、広い駐車スペースを確保
○不安:安く買えているのか不安→間接費を抑えることで、安値で提供
○不信:よく知らない海外製品への不信感→グローバルチェーンの安心感
○不適:週末にまとめ買いをする目的では街中のスーパーは不適→まとめ買い推奨サイズ
○不要:過剰なサービスは不要→会員制、セルフサービスで安さ重視
○不満:いつも同じような商品しか買えず、エンタメ要素がないことが不満→見たことのない商品を品ぞろえ。ホットドッグやジュースが安価でゲットできるエンタメ要素あり
○不快:狭いスーパーでの買い物が不快→広い空間。大型カートで買い物

このようにあてはめることができます。

コストコは、ターゲットとした顧客に対して、自社特有の強みを最大限に生かすことで、ビジネスを有利に展開していることがわかります。

弱みを克服するよりも強みを武器にする

もちろん、コストコにも弱みはあります。しかし、強みを軸に戦える(ビジネスができる)ターゲット顧客を設定することで、強みを生かす経営・事業ができているということです。

三坂健『戦略的思考トレーニング』(PHPビジネス新書)
三坂健『戦略的思考トレーニング』(PHPビジネス新書)

あなたの企業や事業にも強みや弱みがあるでしょう。

問うべきは、「強みを生かした経営・事業ができているか?」ということです。

弱みを克服するという視点も大切ですが、それには時間がかかります。「自社が有している強みを武器にできないか」と考えるほうが、より効率的で、効果的です。

そこで必要になるのは、自社が有している強みを軸にした商品やサービスとマッチする顧客を見つけること、定義すること、場合によっては創り出すことです。

ただし、間違えてはいけないのは、アウトサイド・インであることは必須だということです。

「自社の強みはこれだから、この強みをPRしていこう」という内側からのインサイド・アウト的思考では、変化が激しく、競合が多い市場環境を生き抜いていけません。

まず、市場はどうで、顧客は誰で、どんな不を抱えているか、ということをしっかりと踏まえたうえで、自社の強みが生かせる顧客をターゲットとして据える。そして、価値をしっかりと創り上げ、届けていく。この思考のプロセスを踏むことを忘れてはいけません。

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