競合と比べたときの自社の強み・弱みを整理する

バリュープロポジションを定義する最後のステップは「強みと弱みを知る」です。

市場の傾向をつかみ、顧客を分類し、顧客を知ることができたら、「競合が提供できず、自社が提供できる価値」を定義するステップに進みます。その際に、顧客が求める価値に照らして自社の強み・弱みを仕分けし、そして、「強み」にフォーカスすることが必要となります。

では、具体的に、どのように強みや弱みを知り、定義すればいいのでしょうか。

ここではフレームワークを用いると効果的です。

先に示した不の感情の一覧をフレームワークとして、それに照らして競合と自社を比較することで、競合と比べたときの自社の強み・弱みを整理することができます。

どういうことか、例をあげて考えていきましょう。

【演習問題】
アメリカ発のコストコが日本で成功した理由は何でしょうか?

コストコは大型のスーパーマーケットです。一度でも行ったことがある人は、その規模、商品の豊富さや大きさ、独特な雰囲気に圧倒されたのではないでしょうか。のびのびと回遊することができ、大型のカートを押しながら、他のスーパーではあまり見られないサイズと種類の商品に出会うことができます。

コストコはアメリカ以外でも自社の強みを軸に成功しています。

では、日本のスーパーと比較して、日本におけるコストコの強み(弱み)はどこにあるのでしょうか?

「顧客の不」から強みを考える

強みや弱みを考える前に、これまでの定石にならって、コストコがターゲットとしている顧客をイメージしておきましょう。

○性別:問わず
○年齢:30~40代
○職業:会社員または自営業
○生活時間帯:平日は忙しく、週末に休み
○家族形態:4人以上、多世帯住まい(または近隣に居住)、車所有
○利用目的:必要なものや目新しいものをまとめ買いしたい、友人とシェアしたい

ポイントは、「利用目的」の「必要なものや目新しいものをまとめ買いしたい、友人とシェアしたい」というところにあります。この利用目的を軸に、顧客の不を洗い出すと、どうなるでしょうか。

○不便:車で行けないと不便
○不安:安く買えているのか不安
○不信:よく知らない海外製品への不信感
○不適:週末にまとめ買いをする目的では街中のスーパーは不適
○不要:過剰なサービスは不要
○不満:いつも同じような商品しか買えず、エンタメ要素がないことが不満
○不快:狭いスーパーでの買い物が不快

といったところでしょうか。

あくまで私の解釈をもとにした仮説を並べていますが、実際にこの作業を行うためには、データの分析、アンケートの収集、顧客へのヒアリングを重ねて検証する必要があります。