※本稿は、三坂健『戦略的思考トレーニング』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
「競合が提供できず、自社が提供できる」という部分を定義する
バリュープロポジションを定義する流れについて話を進めましょう。
バリュープロポジションとは、「市場(顧客)が求めていて、競合が提供できず、自社が提供できる価値」のことです。
「顧客を分類して、ターゲットがわかったら、それでいいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、これだけでは不十分です。
ターゲットに設定したシンボリックな顧客が何を求めているのかを理解することが、その後のバリュープロポジションの定義につながります。
例をあげて考えてみましょう。
人気を博した「RIZAP」のボディメイク。シンボリックなターゲット顧客は誰で、その顧客はどんな価値を求めているのでしょうか?
誰もが知っているサービスということで、RIZAP社のボディメイクを例にあげたいと思います。
RIZAP社は、ボディメイク市場において、パーソナルトレーニングという手法を定着させた企業です。ヒットしたということは、顧客が求める価値と企業が提供するサービスが重なったと考えられます。
では、誰に対して、どのような価値を提供したのでしょうか。ターゲットと、その顧客が求めている価値を想像してみましょう。
本来はデータから仮説を立てるべきですが、ここではCMから読みとれる情報で仮説を立てます。
ターゲットについては、
○性別:問わず
○年齢:40~50代
○職業:運動を必要としない仕事
○生活時間帯:日中だが、夜間に飲酒や食事の機会が多め
○家族形態:問わず
○利用目的:ダイエットをしたい
とイメージすることができました。
ただ、これだけでは、RIZAPを他のスポーツクラブと差別化するだけの視点が不足しています。
このクラスターの人が抱える課題やニーズをより深く知ることで、「競合が提供できず、自社が提供できる」という部分を定義しやすくなります。
では、顧客のニーズをさらに深掘りするためにするべきことは何でしょうか?