「成果目標達成」と「ステート」の関係は4つに分類できる
ここで、「成果目標達成」と「ステート」の関係を整理したマトリクス図をご紹介します。「成果目標達成(未達成)」を横軸、「ステート」を縦軸で示しています。
第1象限は、日々幸せな良いステートではあるものの、成果は出ていない領域です。
第2象限は、日々幸せな良いステートであり、成果も出している理想的な領域です。
第3象限は、日々苦しいステートで、なおかつ成果も出ておらず、抜本的な見直しが必要な領域です。
第4象限は日々苦しいステートですが、比較的成果を出している領域です。
以前の私を含めて日本のビジネスパーソンの多くに、第4象限の方が見受けられます。この象限の方々がいかに第2象限にシフトしていくかが、日本全体のステートを上げるカギとも言えるのではないでしょうか。
私のクライアントも第4象限にいた方が多く、「経済的な豊かさや社会的な評価をある程度手に入れているものの、ステートは日々苦しかった……」という方々が大半です。
一方、ドイツ・ベルギーで仕事をして感じたことは、第1象限と第2象限の人が比較的多いということです。中には、正直もっと仕事をしてほしい、自分で行動してほしいと思う第1象限の人も少なからずいました。
そして、非常に大事な気づきは、彼らには第1、第2象限にいることを尊ぶ姿勢があったことです。実際に、経営幹部層から従業員まで、「ステートが少しでも悪いなら勤務しない」という文化がありました。クリニックではうつ病の診断書がすぐ出ますし、社会的にも働く人のステートを尊重する風潮でした。
「どのステートから行動するか」が目標達成のカギ
ステートが悪い人やチームから出来上がった商品・サービスは、人のためになるどころか人に害を及ぼしています。今、ネット上やテレビで流れる情報やサービスのどれだけのものが、本当に人々を幸せにするものでしょうか。
今の世の中には、恐怖をやたらと煽って消費者のステートを崩させ、それによって関心を引きお金を稼ごうとする商品・サービスが少なくない……そう感じているのは私だけでしょうか。
商品・サービスの質という観点でも、サービス提供側にステートの良い人やチームが求められる時代です。繰り返しますが、ステートが悪い人やチームからは良い商品・サービスは生まれにくい。一消費者として言うならば、ステートが悪そうな人やチームのサービスを受けることは要注意です。
書店に足を運ぶと、行動量を増やすためのメソッド本が溢れています。私もそのような本をたくさん読んでいた一人です。手軽に今すぐ最短距離で成功が手に入りそうなこのような本が流行るのもわかります。
しかし、「どれだけ行動するか」はもはや時代遅れ、「どのステートから行動を起こすか」が成果目標達成と未達成を分ける時代に入っています。