相手の言葉を使うと「for you感」が出る

たとえば、ヒアリングの際に「EV化への対応」という言葉を相手が何度も繰り返していたとします。それならば次回、提案書を持っていくにあたり、

「先日のヒアリングでうかがったさまざまな課題を解決すべく、ご提案をお持ちしました」

と切り出すよりも、

「『EV化への対応』を実現すべく、ご提案をお持ちしました」

としたほうが、より言葉が強くなるのがおわかりいただけるでしょう。相手の言葉をそのまま使うことでより「for you感」が出るのです。

プレゼン資料の1枚目にバーンと相手の言葉を出す、というのも使えるテクニックです。

膝の上に手を組んで座っている人
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新任マネジャーは部下の言葉を拝借せよ

もし、あなたが新しい部門に配属され、まったく見知らぬチームを率いる立場になったらどうするでしょうか。

おそらく多くの人はまず「メンバー全員にヒアリング」をすることで、チームの現状把握に努めることでしょう。

その際にもやはり「言葉を盗む」ことを心がけてみてください。すると、そのチームの癖というか、傾向のようなものが見えてくるはずです。

たとえば「顧客視点」という言葉がよく出てくるようなら、その言葉を拝借します。そして方針発表の場で「徹底的に顧客視点にこだわろう」と言えば、「この上司、自分たちのことをわかっているな」と感じてもらうこともできるでしょう。

ヒアリングが重要なのはもちろんですが、ただ漠然と話を聞くだけでは何も残らないことも多々あるものです。ぜひ、相手が「よく使う言葉」を意識してみてほしいと思います。