「業界用語」がトラブルを引き起こす

逆に注意してほしいことがあります。それは「自分たちだけにしか通じない言葉を使うな」ということです。

先日、こんなことがありました。自宅の給湯器が壊れたので、妻がメーカー数社に相談の電話をしたのですが、その際、ある会社が「まずは現調をさせてもらって見積もりを」という言葉を使ったそうなのです。

大塚寿『できる人は、「これ」しか言わない』(PHP研究所)
大塚寿『できる人は、「これ」しか言わない』(PHP研究所)

現調とは「現地調査」の略ですが、わからない人にはわからない言葉です。妻はこの言葉自体は知っていたそうなのですが、「そういう略語を使う時点で、顧客視点がなっていない」と、その会社を候補から外してしまいました。

これは極端な話かもしれませんが、やはり自分たちの業界の専門用語を外部の人に対して意識せずに使ってしまうような会社は、顧客視点が足りないというか、視野が内向きだと判断されても仕方のないところがあります。

そもそも、その専門用語すら、業界によって微妙に使い方が違ったりします。先ほどの「現調」も、電気設備会社では「現地調整」という意味になり、器具を持っていって調整することを意味します。

つまり、給湯器メーカーの現調は「単に現場を見て見積もりを立てる」ことですが、電気設備では「現場で調整してくれる」ということで、まったく違う意味になってしまうわけです。さらに、現地調達のことを「現調」という業界もあります。これでは、トラブルになりかねません。

業界人ぶりたい人ほど、専門用語や略称を使いがちです。しかし、それは諸刃の剣であるということを忘れないでほしいと思います。

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