ビジネスの現場では、言葉遣いで実力を図られてしまうことがある。営業コンサルタントの大塚寿さんは「専門用語や略称を使いがちな人ほど、仕事ができない傾向がある」という——。

※本稿は、大塚寿『できる人は、「これ」しか言わない』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

スーツを着て仕事をしている人
写真=iStock.com/shapecharge
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究極の目的は「相手から言葉を盗む」こと

「提案の前にヒアリングをさせてください」
「まずはチームメンバー全員にヒアリングをしたいと思います」

ビジネスの世界でよく聞く「ヒアリング」という言葉。その重要性は言うまでもありませんが、一方でこのヒアリングという言葉ほど、あいまいな言葉もありません。本来的な意味では単に「聞く」というだけですから、「一体何を聞けばいいのか」という話です。

ヒアリングにもいろいろな技法があり、ケースによって聞くべきことも多岐にわたってきます。それだけで一冊の本ができてしまうくらいですが、本稿ではあえてひと言で言いきってしまいたいと思います。

ヒアリングの究極の目的とは「相手から言葉を盗む」ことです。

少々不穏な言い方になってしまいましたが、要するに、相手が一番重視している言葉を会話の中から探し出し、それを拝借し、次回の面会時に自分たちも使わせてもらう、ということです。

相手が一番重視している言葉は、会話の中で何度も何度も繰り返し使われる言葉や、最も力を入れて語られる言葉の中にあるはずです。それはまさに、相手にとっての最大の関心事。それをメモしておき、次に会うときに自分もその言葉を使うことで、相手の心をがっちりとつかむことができるのです。