将来設計が立てられないまま、09年2月に契約満了したのを最後に、ついに仕事が途切れた。いまは正社員のときの退職金を取り崩して生活している。

「募集されている貿易事務の求人のほとんどは、自分にできる仕事です。でも現場の上司は自分より年下の人なのでしょう。求人票には『30代が活躍しています』『派遣先の上司は45歳です』とそれとなく希望年齢が書いてある。私が申し込んでも、まったくひっかかりません」

この2月には雇用保険の失業給付も切れるが、生活の見通しは立たないままだ。

派遣会社は「派遣はスキルを生かして自由に働ける」と宣伝してきた。しかし、いくらスキルを身につけても、40代、50代になると仕事がなくなってしまう。生涯を通した働き方としては成り立たず、話が違うと立ちすくむ派遣労働者は数多い。

派遣会社の業界団体は、派遣のメリットを「非雇用」、つまり、雇わずに働かせることができることだとうたっている。派遣を活用している企業は雇用責任を負わない。しかも切り捨て御免――そんな処遇が、派遣社員の生活や未来を破壊している。

※すべて雑誌掲載当時

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