当面の間、世界の発電の主流は石炭火力

世界の発電の主流を占めるのはあくまで石炭火力なのであり、当面、その状況が変わることはない(08年における世界の電源別発電電力量の構成比は、石炭が41%、天然ガスが21%、水力が16%、原子力が14%、石油が6%、その他が3%である)。

国際的にみて中心的な電源である石炭火力発電の熱効率に関して、日本は世界トップクラスの実績をあげている(図1)。

したがって、日本の石炭火力発電所でのベストプラクティス(最も効率的な発電方式)が諸外国に普及すれば、それだけで、世界のCO2排出量は大幅に減少することになる。

図2からわかるように、中国・アメリカ・インドの三国に日本の石炭火力発電のベストプラクティスを普及させるだけで、CO2排出量は年間13億4700万トンも削減される。この削減量は、90年の日本の温室効果ガス排出量12億6100万トンの107%に相当する。

日本の石炭火力のベストプラクティスを中米印三国に普及させさえすれば、鳩山元首相が打ち出した「25%削減目標」の4倍以上の温室効果ガス排出量削減効果を、20年を待たずして、すぐにでも実現できるわけである。

この事実をふまえれば、日本の石炭火力技術は地球温暖化防止の「切り札」となると言っても、決して過言ではないのである。