休校で友達と遊べない、同級生の素顔を知らない
実際のコロナで不登校になった相談例です。
【ショウスケくん】(コロナ休校後、小学6年生の秋から休み始め、不登校に。NPO法人高卒支援会の訪問支援で立ち直り、現在は中学に登校できている)
ショウスケくんはもともと大人しいタイプで、友達作りが苦手なほうでした。小学5年生までは、なんとか友達ができて仲良くやっていましたが、コロナで5年生の3月から突然休校になってしまいました。そのまま6年生になりましたが、休校が続き、友達と遊んだりすることもなく、ずっと家で過ごしていました。
その後、5月下旬に緊急事態宣言が明け、学校が始まりました。新しいクラスです。密を避けるために分散登校になり、出席番号で半分に分けて登校するので、クラスメイトの半分には会えません。授業時間も短縮していて、なかなか友達ができず、クラスでもほとんど話さない日々が続きました。
6月中旬からは完全に元通りの授業になりました。しかし、感染予防のため、マスクを着用して、密を避けた行動をしなくてはなりません。学校行事も中止になり、給食でも全員が前を向いてしゃべらずに食べなさいと指導されます。第一、新しいクラスメイトのマスクを外した顔を見たことがないのです。友達ができないまま1学期が終わりました。
ゲームをしていてもオンライン授業で出席扱いに
夏休みが短縮され、8月下旬から2学期が始まりました。しかし、状況はあまり変わりません。クラスでは友達がいなくて孤立し、悪口を言われることもありました。しだいに、週に2~3日休むようになり、11月からは全く学校に行けなくなってしまいました。
ただ、前出の文部科学省の意向を受け、学校ではコロナの感染不安で登校できない生徒のために、授業をオンライン配信しています。ショウスケくんはそれに出席しているので、出席停止扱いになり、欠席とはなりません。
しかし実際は、タブレットに学校の配信をつなぎっぱなしにして、日中はずっとゲームをして過ごしているのです。しだいに学校以外の外出も渋るようになってしまいました。ひきこもりの危機です。
このショウスケくんのように、実際は不登校でも、文部科学省の方針によりコロナで不利益を受けないような対処が全国の小中高校でされているため、欠席していることにならないのです。
その後、ショウスケくんのお母さんから高卒支援会に相談があり、アウトリーチ支援(訪問支援)を続けて、翌年4月からは中学校に登校できるようになりました。ショウスケくんのケースは、たまたまお母さんが迅速に行動してくれたために、立ち直ることができましたが、コロナで不登校になったままの児童生徒も多いと思われます。欠席扱いにならないため、本人も保護者も危機意識が薄いのです。