欠席扱いにならないなら「無理に行かなくてもいい」

高2の3学期になると、○○の授業をあと1回休んだら留年になってしまう、というところにまで追い詰められます。各教科の残りの授業数と欠席日数を数えると、3月の全ての授業に出席すれば、高3に進級できますが、休んでしまえば留年になってしまいます。

留年になるなら、通信制高校への転入も考えなくてはなりません。ユメさんもお母さんも、高3の進路が決まらないままで不安だったといいます。

そんなとき、安倍元首相の判断で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため学校が休校になったのです。これで3月は出席停止扱いになり、無事高3に進級できることになりました。

高3に進級したものの、学校にあまり行けない状態は変わりません。休校中から学校はオンライン授業を開始しましたが、ほとんど授業に参加していませんでした。5月下旬から学校が再開し、対面授業が始まりましたが、行けない状態に変わりありません。ただ、それも“新型コロナウイルス感染回避のための出席停止”とされ、欠席日数としてカウントされません。ユメさんも、それなら無理に学校に行かなくてもいいと思うようになってしまいました。

行き過ぎた受験指導が不登校の引き金になる

学校から通知があったのは、9月下旬。10月からは、新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合や、濃厚接触者になった場合のみ、出席停止扱いとなり、それ以外は通常の欠席になることが文書で明記され、保護者全員に配布されました。

高3は例年通り、1月以降は受験のために自由登校となり、出席しなければならない授業はありません。すると、ユメさんが行かなければならないのは、実質10月から12月中旬までの約2カ月半です。ユメさんは、ときどき休みながらも、なんとかぎりぎりの出席日数で、卒業できました。

卒業証書
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

ユメさんのケースは、前著『不登校・ひきこもりの9割は治せる1万人を立ち直らせてきた3つのステップ』(光文社新書)でも指摘したように、私立中高一貫進学校特有の問題で、不登校になっています。

このような行き過ぎた大学受験に偏った指導は、超名門校というより、その少し下のレベルにある進学校や、学校名を変更したり、共学化したりして進学校を目指す新規の学校に多い傾向があります(詳しくは前著2章を参照)。