「ジビエ鹿肉バーガー」を全国の店舗で発売
さらに、2016年から展開する「ジビエ鹿肉バーガー」も、高付加価値、高価格帯路線の代表的な商品だ。
ロッテリアは2016年から、北海道産のジビエ「エゾ鹿」を使用したご当地バーガーを、北海道内限定で販売しており、2019年からは全国100店舗超で取り扱うようになっていた。
そして今年9月に「ジビエ鹿肉バーガー(エゾ鹿ラグーソース)」として、初めてロッテリア全店舗にて数量限定で発売したのである。11月29日には第2弾として、「ジビエ鹿肉バーガー(3種きのこコンフィと北海道チーズ)」(単品840円)を同じく数量限定で発売した。
ロッテリアの店舗数だから、ジビエが扱える
他社が使わないジビエを商品に取り入れられた理由は、ロッテリアの企業努力にて販売チャネルを開拓し、ジビエを確保できるようになったのが大きいという。
これまではジビエを取り扱う処理施設や製品加工工場が少なく、安定した販売流通を実現できない状況だった。だが、2018年に農林水産省が制定した国産ジビエ認証制度で認証を取得した食肉処理施設が増えたことにより、食材として安心な国産ジビエを調達しやすくなった。
こうした状況と、北海道での限定発売の経験から得たジビエの利活用方法や製品加工工場との連携などが追い風となり、販売網を形成することができたわけだ。
「『ジビエ鹿肉バーガー』は他社とは差別化が図れている商品だと思っています。食べ応えがあるので男性に人気ですが、高タンパク・低カロリーゆえヘルシー志向の女性のお客様にも好評いただいています。持続可能な生産消費というSDGsの観点に立ち、今後もジビエ肉を使ったハンバーガーの商品を展開していく予定です」(緒方さん)
加えて、店舗数の規模感も功を奏した。
国内においてマクドナルドは約2900店舗、モスバーガーは約1250店舗に対し、ロッテリアは約370店舗と数では及ばない。
しかし、「ジビエ肉を使ったハンバーガーを全店で販売できるのはロッテリアの店舗数でないと実現できない」と緒方さんは語る。店舗拡大よりもユニークかつ高品質な商品開発に注力し、高付加価値の商品を提供する戦略をとっているのだ。