第2番目が、上司から人事相談を受けたとき。あなたならどうしますか。基本的に即決、その場でのんだほうがいいと私は思います。私も営業から人事部への異動を打診されたときには、即答で「やります」と返事していました。

異動には抜擢で引き抜かれていくパターンと、今の部署よりも他の部署のほうが活躍できそうなので移ってもらおうという、2種類の上司の判断があるわけですが、共通しているのは今の部署に居続けたら本人は損をする可能性が高い、ということです。

そもそも抜擢チャンスを捨てるのはもったいないし、上司から評価されない場所にいても成長は見込めない。だから人事の相談は早く決断したほうが得なのです。

ハイリスクなのは「ちょっと考えさせてください」と判断に時間をかけすぎてしまうケースです。経営サイドとしては本人のOKさえ出ればプロジェクトを動かせるのに、そこで悩まれると評価は厳しくなります。

2週間悩んで答えがノーだったらなおさらです。この人は「リスクを取らないワナ」に落ちてしまっている。異動を即答で受け入れてくれる人のほうが、上司のポジティブ評価がかけ算になることは間違いありません。

IT産業のように知的労働メーンの世界では、決断が早い人のほうが遅い人より成果を出し、生き残る確率は高い。決断経験を蓄積することで、挑戦許容度が高くなっているからです。

「決断経験値」を大げさに捉える必要はありません。企画書は、A案、B案、そして言われていないがC案も出して、自分の意見を述べてみる。そんなことからでも始められます。

リスク耐性をつけるのに大げさな意識改革は必要ありません。自分主体の意思表明が何より大事だと思います。

(構成=長尾康子)