「リスク怖い病」にならないようにするには決断経験を重ねて、挑戦を許容できる体質になるべきだと言うと、転職や独立を考える人も多いのですが、安易な転職や独立もキャリアのワナの1つといえます。

転職は「リセットボタン」を押すことになります。今までの成果すべてをリセットして、新しい職場でゼロから評価される覚悟があれば意味があるでしょう。実際、私も転職組ですし、転職によって成長する人も大勢います。

ただ、うまくいかないジョブホッパーは、仕事上のネガティブをリセットしようとする一方で、ポジティブなことまで一緒にリセットすることに気づかないまま転職してしまう人が多いように思います。

多くのベンチャー経営者とお会いする中で、企業に長く勤めていた人が独立してうまくいかないケースがあるのは、独立前までの決断経験が少ないことも一因かもしれません。

会社にいれば多少のトラブルがあっても、既定路線の中で生きられる。会社経営はサラリーマン生活からは想像しえない新しいことや、とんでもないことが起きます。既定路線の中では人間の生ぐさい部分での決断経験が不足することも多いため、経営に迷いが生じるのかもしれません。

転職や独立ではなく、「考え方」を変えることで、誰でも現状から一歩踏み出して決断経験値を増やせる方法を2つ紹介しましょう。

まず第1に、「自分の意思を表明して周囲の誰もが認める成果を出そうと思うこと」です。成功すれば成長角度のテコを1つ上げられます。

例えば営業成績を10カ月連続達成している人。周りが認めてくれないと嘆く前に、成果を正しくアピールしていますか? 営業日報やミーティング、面談や仕事の後の飲み会など、上司に意思表明する場は意外とあるものです。