朝食を食べても抜いても「燃焼率」は同じ

「朝食を食べないと代謝が悪くなる」ともよくいわれる。英国バース大学が朝食に関するランダム化比較試験を行ったところ、「一般的にいわれていることとは異なり、朝食の代謝適応作用は認められなかった」ことがわかった(※7)

一日の総エネルギー消費量は、朝食を摂っても摂らなくても変わらなかったのだ。反対に、朝食を食べた人は、朝食を抜いた人に比べて、一日で平均539キロカロリー多く摂取していた――ほかの研究結果とも一致している。

朝はいつも時間がなく慌ただしい。だから、私たちは手軽に食べられて、安価で、賞味期限の長い加工食品を求める。子どもを主要ターゲットにした砂糖がけのシリアルは、朝食の王様だ。圧倒的な数の子ども(73%)が、砂糖がけのシリアルを定期的に食べている。

逆に、朝食に卵料理を食べている子どもは、わずか12%だ。

ほかにも、手軽に食べられるトースト、パン、加糖ヨーグルト、デニッシュ、パンケーキ、ドーナツ、マフィン、果物のジュースなども人気がある。精製された炭水化物を使った安価な製品が多いのは明らかだ。

歩きながらドーナツを食べている女性
写真=iStock.com/yumi yamao
※写真はイメージです

朝食を食べるとき、お腹がすいているだろうか

朝食は一日の食事のなかで最も大切な食事だ――大手食品会社にとっては。利益率の高い、高度に加工された朝食用の食べ物を売り込む絶好の機会なので、大手食品会社は傷ついた獲物に群がるサメのように利益をむさぼっている。

「朝食を食べましょう!」と彼らは声高に叫ぶ。「朝食は一日のなかで最も大切な食事です!」と大声で言う。医者、ダイエット専門家、医療関係者を“教育する”いい機会にもなる。

こうした職業の人には、大手食品会社にはない社会的信用がある。彼らを利用した結果、利益が食品会社に流れていくわけだ。

自分自身にごく当たり前のことを問いかけてみてほしい。朝食を食べるとき、お腹がすいているだろうか? すいていないなら、自分の体の声を聞き、無理に食べないことだ。

もし、朝、お腹がすいていて朝食を食べたいなら、食べればいい。だが、砂糖と精製された炭水化物は避けたほうがいい。また、朝食を抜いたからといって、クリスピー・クリームのドーナツを、10時のおやつに食べてもいいということではない。

※1 Wyatt HR et al. Long-term weight loss and breakfast in subjects in the National Weight Control Registry. Obes Res. 2002 Feb; 10(2):78‐82.
※2 Wing RR, Phelan S. Long term weight loss maintenance. Am J Clin Nutr. 2005 Jul; 82(1 Suppl):222s‐5s.
※3 Brown AW et al. Belief beyond the evidence: using the proposed effect of breakfast on obesity to show 2 practices that distort scientific evidence. Am J Clin Nutr. 2013 Nov; 98(5):1298‐308.
※4 Schusdziarra V et al. Impact of breakfast on daily energy intake. Nutr J. 2011 Jan 17; 10:5. doi: 10.1186/1475-2891-10-5. Accessed 2015 Apr 8.
※5 Reeves S et al. Experimental manipulation of breakfast in normal and overweight/obese participants is associated with changes to nutrient and energy intake consumption patterns. Physiol Behav. 2014 Jun 22;133:130‐5. doi: 10.1016/j.physbeh.2014.05.015. Accessed 2015 Apr 8.
※6 Dhurandhar E et al. The effectiveness of breakfast recommendations on weight loss: a randomized controlled trial. Am J Clin Nutr. 2014 Jun 4. doi: 10.3945/ ajcn.114.089573. Accessed 2015 Apr 8.
※7 Betts JA et al. The causal role of breakfast in energy balance and health: a randomized controlled trial in lean adults. Am J Clin Nutr. 2014 Aug; 100(2): 539‐47.

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