まず重要なのは人生の目的
世に時間術やタイムマネジメントの指南書はごまんとある。そこに書かれていることを実践していけば、より効率的に仕事をこなすことができるようになるだろう。だが、それであなたが現在の忙しさから解放されるかといったら、おそらくそれは無理だ。ついでにいうなら、それらのテクニックによって処理できる仕事の絶対量が増えたとしても、ビジネスパーソンとしてのあなたの価値は、たいして高まらないかもしれない。
時間の使い方が上手いというのは、人生の目的を達成するために24時間を有効に使えることをいうのであって、目の前の作業を猛スピードで片づけられるようになるのとは違う。時間の使い方を考えるうえでもっとも重要なのは、人生の目的なのである。
「人生の目的を常に意識している」という質問に「あてはまる」と答えた人の割合は、年収1500万円以上で22.2%。これは500万円台の9.6%の約2.3倍である。逆に「あてはまらない」という回答は年収500万円台のほうが18.3%と、1500万円以上の7.8%を大きく上回っている。「人生設計図にまで落とし込んでいる」という人の比率も、年収1500万円以上のほうが明らかに大きい。仕事で結果を出し評価されている人ほど、何のために働いているのかきちんと自覚しているということがよくわかる。
人生の目的や目標がはっきりしないという人は、何にもましてそれを考える時間を捻出することだ。実際、1500万円以上の4人に1人は、そのための時間をつくっていると答えている。人生設計図はそれをブレークダウンして、具体的なスケジュールに落とし込まなければ効果は出ない。
これら一連の作業をすでに行っている人の割合を見ると、年収1500万円以上では500万円台の2倍。やはり高収入の人ほど、普段の計画に人生の目的や目標が反映されているのがよくわかる。また、人生設計図は1度つくったらそれでいいというわけではなく、環境の変化に応じて修正を施したほうがいい。「こまめにメンテナンスしている」人は年収500万円台が10.3%なのに対し、1500万円以上が22.2%と、ここでも明確な差がついている。
時間管理は、まず「年」単位でやることを決め、そこから「月」「週」「日」に、より具体的な形で落とし込んでいくのが基本。したがって1日の計画を立てるときには、すでにその日のToDoリストに今日やることがリストアップされていなければ本当はおかしいのである。「目標は長期と短期の組み合わせで立てている」「目標は年、月、週、日などの単位ごとに立てて、それぞれ別個で管理している」という項目を見ると、「あてはまる」と答えている人の割合はどちらも年収1500万円以上のほうが500万円台より10ポイントほど大きくなっている。