「強硬論の浮上を北朝鮮は歓迎している」と朝日社説
朝日新聞(10月23日付)の社説は冒頭部分で「発射は、総選挙の公示日だった。岸田首相は改めて、敵基地攻撃能力の保有を含む検討に言及したが、それがどれほど現実的に有効な手段か、専門家からは多くの疑問が出ている」と指摘し、こう主張する。
「軍事的な対症療法の議論に傾くよりも、北朝鮮の思惑を分析し、本質的な問題改善を導く方策を練るべきだ」
確かに「敵基地攻撃能力の保有」の議論は対症療法かもしれない。だが、対症療法も疾病にはある程度有効である。新型コロナの特効薬がないなか、熱を下げたり、咳を止めたりする対症療法は役に立ったはずだ。敵基地攻撃能力も同じだ。相手国に攻撃を止めさせる抑止力がないとは言えない。
朝日社説は何を「本質的な問題改善を導く方策」とみなすのか。
朝日社説は指摘する。
「北朝鮮は日韓で大型選挙があるたびに挑発を強めてきた。韓国で『北風』と呼ばれる動きである。地域の緊張の高まりは自らの対外戦略や国内統治に有利に働くと考えているからだ」
「その意味で日本での強硬論の浮上を、北朝鮮は歓迎している可能性すらあり、慎重な対応が求められる。何より急を要するのは、北朝鮮との意思疎通のパイプを復活させることだ」
朝日社説は「植民地支配」を持ち出すが…
北朝鮮は韓国の選挙には敏感に反応するが、日本の選挙にはそれほどではないと思う。ただ「地域の緊張の高まり」を外交に利用するところがあり、「日本での強硬論の浮上」も米朝協議の再開に利用しようと画策するはずだ。日本はその点を十分に理解したうえで「意思疎通のパイプ」を再構築すべきである。
最後に朝日社説は「隣国であり、植民地支配という過去を抱えるがゆえ、日本は南北朝鮮と向き合い、難題を乗り越える以外、道はない」と言い切る。
しかし、戦後結ばれた協定などで植民地という過去は払拭されている。慰安婦問題や徴用工判決にこだわる韓国側に問題があり、国際社会に背いて核・ミサイル開発を止めようとしない北朝鮮が非道なのである。朝日社説はその点を理解する意思があるのか。