「棄権」は自民や公明に票を入れたことと同じ

朝日社説は「与党大勝をもたらした、もう一つの要因は低投票率だろう」と書き、過去の衆院選の低い投票率を示したうえで、「投票に行かなかった人を含む有権者全体に対する『絶対得票率』をみると、前回小選挙区の自民は25%と、4人に1人が投票したに過ぎない」「一般的には、低投票率は組織力があり、地方議員の数も多い自公に有利とされる」と指摘する。

投票しないことは自民や公明に票を入れたことと同じになる。果たしてそれでいいのか。

衆院が解散され、万歳をする前議員ら=2021年10月14日午後、国会内
写真=時事通信フォト
衆院が解散され、万歳をする前議員ら=2021年10月14日午後、国会内

朝日社説は最後に有権者にこう期待する。

「2年弱のコロナ禍で、政治の役割が自らの命や暮らしに直結するとの認識を新たにした有権者の行動が変化すれば、選挙結果を左右するかもしれない」

先日、NHKのニュース番組も伝えていたが、新型コロナの感染拡大の結果、政治の判断が自分たちの生活に直結すると考える若者が増えているという。これまで投票しようとしなかった若者が投票に行くようになれば、投票率も上がるだろう。

「もっと論戦を盛り上げてもらいたい」と産経社説

10月19日付の産経新聞の社説(主張)も投票率を気にして「もっと論戦を盛り上げてもらいたい。このままでは、投票所へ足を運ぶ有権者が減ってしまうのではないかと心配だ」と書き出す。

産経社説はどんな論戦を盛り上げろというのか。読み進むと、18日の日本記者クラブ(東京・内幸町)主催の与野党9党首の討論会を取り上げ、こう指摘する。

「『世界の中の日本』」という視点から、目指す日本の姿や具体的政策が語られなかったのは残念である」

世界の中の日本。つまり虫の眼ではなく、鳥の眼で日本を論じろというのだ。

産経社説は指摘する。

「日本は世界第3位の経済大国だが、平成時代から今まで低成長を脱しきれず名目国内総生産(GDP)はあまり伸びていない。最近の20~30年で、多くの主要国はGDPを2倍以上にしてきた。日本の昨年の1人当たりの名目GDPは、先進7カ国の中で6位にすぎない」

ここまで指摘されると、経済成長率の低さにあらためて驚かされ、何とかしなければとの思いが強くなる。

続けて産経社説は各党、各立候補者に向かって「力強い成長を実現する政策を講じなければ実のある分配を続けられない。経済をどこまで伸ばすのか。国民の所得をどこまで増やすのか。具体策を語ってほしい」と訴えるが、もちろん、世界の先進国に負けないように経済を大きく伸ばし、国民の所得を増やすべきである。