中国を毛嫌いする人には効果的かもしれないが…
次に産経社説は「中国が強硬姿勢をとる台湾情勢や、尖閣諸島、南シナ海の問題は出なかった」と書き、こう指摘する。
「北朝鮮から日本人拉致被害者をどうやって取り戻すのか、中国のウイグル人などへの人権侵害や香港弾圧にどう対処していくのかも語られなかった。『自由で開かれたインド太平洋』を守る方策も論じられなかった」
産経社説が指摘する中国の問題は、台湾威嚇から香港弾圧まですべて習近平(シー・チンピン)政権の覇権主義や強権発動による。産経社説が解決を主張してやまない拉致問題も、核・ミサイル開発の問題と同様に国際社会が協力して北朝鮮に訴え続けなければならない。
さらに産経社説は「日本と世界の関わりをもっと意識して政権の目標や政策を語るべきだ。内向き志向では困る」と指摘するが、これが「『世界の中の日本』」という視点」という意味なのだろう。そしてこの視点で論戦すれば、衆院選が盛り上がるという主張だ。
産経社説の呼びかけは、端から中国を毛嫌いする読者には効果的かもしれないが、それ以外の人にはマイナスだ。産経社説はそこが見えない、いや理解しようとしないのである。残念だが、その結果、主張が偏ってしまうことがある。