洗脳が終わらなれば出ることができない強制収容所

【于田】強制収容所に入れられると、「漢人化のための洗脳」が終わるまで出られません。収容所のなかでも点数が付けられて、満点にならないと釈放されないのでしょう。私の兄も1回目の拘束では完全に洗脳できなかったという判断2回目の拘束があって、1年4カ月間、収容され、その間、安否の確認もできませんでした。

新疆ウイグル再教育キャンプと思われる施設=2019年5月31日
写真=AFP/時事通信フォト
新疆ウイグル再教育キャンプと思われる施設=2019年5月31日

【ローズ】強制収容所から出てきた人の証言を聞くと、収容期間は短くても8カ月間で、多くは2年ぐらいのようです。

【于田】3年、4年も収容された人もいます。

【ローズ】収容所に入って、そのまま帰らずに亡くなった人もたくさんいます。いま日本にいて、日本国籍を取ったあるウイグル人女性の場合は、2017年8月に弟が収容されて、2018年5月にその弟が遺体で返されました。まだ30代の男性です。

彼女は「弟のために何もできなかった」と嘆いています。その男性は、私と同じウイグルの北の方の出身で、中国語もペラペラです。そんな人がどうして強制収容所に入れられてしまうのか。

国連でも警戒されている中国の「臓器狩り」

【楊】欧米のメディアでは「臓器狩り」、つまり強制収容所での臓器収奪の疑いが報じられています。

2021年6月14日には、国連の複数の人権専門家が、中国で拘束された少数民族らが移植用臓器の摘出対象になっている可能性を示す「信頼できる情報」があると発表し、強制的な臓器検査と移植用データベースへの登録が行なわれており、「非常に警戒している」と表明していますが、実態はどうなのでしょうか。

【于田】強制収容所に関する証言は数多くありますが、収容者が「臓器狩り」の犠牲者になったという説を立証するのは難しいです。犠牲者が亡くなってしまうので、証拠が残らないからです。しかし、「臓器狩り」も行なわれているのではないかと疑われています。

【ローズ】傍証の一つとして、中国では、移植手術用の臓器が不自然なほど迅速に見つかる、ということが挙げられています。移植大国のアメリカでも、平均で心臓は8カ月、肝臓は2年2カ月、腎臓は3年1カ月の待機時間が必要なのに、中国では1週間から4週間で適合する臓器が見つかるというんです。

それだけ臓器ストックが大量にある。2015年に中国は「死刑囚からの臓器摘出を中止した」と発表しましたが、少なくともそれまでは臓器摘出をやっていたということです。一方、2017年のドナー登録者は、わずか5500人なので、年間6万~10万件も実施されている移植手術の臓器が、どこからやってきているのか不可解です。