新型コロナウイルスの影響で「オンライン授業」は身近になった。学習のやり方にコツはあるのか。プロ家庭教師集団名門指導会の西村則康さんは「対面授業に戻った途端、ついていけなくなる子がいる。原因はオンライン授業の受け方にある」という――。
オンライン授業を受ける女子生徒
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「聞き続けるだけの授業」は知識が定着しにくい

新型コロナウイルスの感染者が減少傾向になり、9月末をもって緊急事態宣言が解除された。それまで小学校が分散登校になったり、塾の授業がオンラインになったりしていたため、久しぶりに友達と会えるのを喜んだ子は多いだろう。ところが、いざ対面授業が始まると、「授業のスピードについていけない」「騒がしくて集中できない」などの声が多く上がっている。

子供たちに一体何があったのか? その原因はオンライン授業にあると考える。

オンライン授業は、一方通行の授業だ。なかには「うちは双方向型の授業を行っている」と説明する大手進学塾もあるが、実際に参加者全員が音声をオンにすると、家族の声が丸聞こえだったり、遠くで救急車のサイレンが聞こえたりと雑音が入り、うるさくてとても授業にならない。そこで今は先生が説明をしているときはミュートにし、質問の時間だけオフにしていいとルールを設けているようだ。だが、そうなってしまうと、双方向型授業とは言えない。

オンライン授業は、基本的に先生が一人で話す。すると、子供たちは受け身の姿勢になる。オンライン授業で「聞き続けるだけ」に慣れてしまった子供たちは、対面授業では自然にやっていた「考えながら聞く」「書きながら聞く」ことを忘れてしまう。聞いているだけの授業は、身体感覚に落とし込むことができないので、知識が定着しにくい。オンライン授業には参加していたけれど、きちんと理解できていない子は少なくないのだ。

子供部屋で授業を受けるのは良くない

感染防止の観点からいえば、オンライン授業の選択は正しいと考える。また、オンライン授業は、授業の後にアーカイブ動画で視聴できる。これまで塾の授業のスピードについて来られなかった子が、もう一度見返したり、分からなかったところをストップして、そこだけ重点的に学習しなおしたりすることもできる。そういう子にとっては、オンライン授業はメリットが大きい。成績を伸ばした子もいる。一方で、後から見られるからいいやと授業を疎かにしてしまう子も出てきてしまった。だが、そういう子に限って授業を見返すことはない。

小学生の子供にオンライン授業を受けさせるときに、いくつか気をつけてほしいことがある。まず、子供部屋で受けさせるのはやめた方がいい。ゲームやマンガなど誘惑が多く、勉強の妨げになる。子供任せにするのもよくない。顔は画面に向いているけれど、手元は遊んでいることもあるからだ。

塾側では子供たちの顔しか見られないので、さぼっているかどうかの判断は難しい。やはりそこは親がチェックするべきだろう。四六時中、付き合う必要はない。ときどき様子を見たり、声かけをしたりするだけでも十分効果はある。