「売り上げ2000億円の段階では、海外のメーカーを何社もM&A(合併・買収)していると思います。ポイントはその過程の売り上げ500億円。ここまでいけば圧倒的に日本ナンバーワンで、『タオルといえば伊澤だよね』と言われているでしょう。その知名度やマーケティング力を使ってビジネスを拡大できるようになります」

伊澤社長が“世界”にこだわる理由

現在は通過点。あくまでマーケットは世界だ。すでにその下準備も進んでいる。2020年には、ホームファッション大手の米WestPoint Groupと業務提携し、欧米市場の販路開拓に乗り出した。提携直後に新型コロナウイルスの世界的流行が直撃したものの、既に米国の百貨店であるメイシーズや、米アマゾンなどでの販売は始まっており、初年度目標である売上高5億円は手堅いという。

伊澤タオルはなぜ世界にこだわるのか。そこには伊澤社長のじくじたる思いがある。

「日本は、半導体しかり、家電しかり、手間暇かけて、生みの努力や苦労をしているが、実際のビジネスは外国に持っていかれています。もうかるステージをすべて奪われている現状はとても悔しいし、寂しい。私たちはタオルしかできないけれども、タオルのビジネスにおいては日本の会社が世界で頑張っているよねと言われたいのです」

日本企業としての伊澤タオルの名を世界にとどろかす――。その日を夢見て、挑戦は続く。

【関連記事】
「いま日本で一番面白い街でやってみたい」ほぼ日が青山から神田に引っ越した本当の理由
8分で350人前の肉が完売……“異色の牛飼い”が育てた「お母さん牛」に注文が殺到したワケ
「英語力ゼロで単身渡米」法政大野球部の戦力外投手がアメリカでつかんだ"異色の仕事"
「61歳でコロナ失業」元高級ホテル幹部が人生初の"レジ打ちバイト"で得た自信
スーパーカップ、ジャンボモナカ、パピコ…激戦のアイス市場で結局"定番"が選ばれるワケ