「人を道具扱いする」寒い考え方
3.使えない
「あいつ、ほんと使えないんだよな」
「わかる。それにひきかえ、あいつはまあまあ使える」
……聞くだけで気持ちがザラッとするいやな言葉ですよね。自分が言われたら傷つくし、誰かがそう言われているのを聞くのだって不快です。
なぜモヤモヤするのかというと、「人を道具扱いしている」から。ひとりの人間をつかまえて、「機能的かどうか」「自分にとって使い道があるかどうか」だけで判断し、それを声高に主張する。自分はあくまで「使う」側だと周囲にアピールする。
「生産性のある人・ない人」という政治家の発言がしばしば問題になりますが、これなども人に対して「生み出す機能を持っている・いない」線引きをする考え方。
人を道具と見なしている点、自分は管理する立場であることをアピールしている点、どれをとっても「使える・使えない」と同じ、寒い考え方です。
会社員をやっていると、こうした「利益を生み出す人・生み出さない人」という尺度を当てはめられることは多々あります。会社に貢献できなければ存在価値がないかのような錯覚に陥ることもあるでしょう。繊細な人であれば「ちゃんと役に立たないと!」「使える人材になろう!」と自分を追い詰めることもあるかもしれません(この「人材」という言葉もまた、道具っぽくて気になりますが)。
世の中の数ある考え方のひとつに過ぎない
ですが、それは世の中にあるたくさんの考え方のひとつに過ぎません。
そうですねー、右側通行か左側通行か、ぐらいのことです。右側を歩く人が多い中でたまたま左側を歩いたからといって、人として否定されるいわれ、ないですよね?
「使える人」になる必要なんてありません。「使う側」になる必要もありません。使うとか・使わないとか、そういうのじゃないところにこそ、あなたという人間のすばらしさはあるのです。
「使える・使えない」の話が耳に入ったら、「わー、よくわからない話だなあ」「宇宙人の会話かな?」ぐらいに聞き流しましょう。