※本稿は、五百田達成『繊細な人 鈍感な人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
見た目を「劣化」と表現する人は三重の意味でアウト
1.劣化したよね
女性が年齢を重ねて見た目が変わることを、「劣化」と表現する人たちがいます。
タレントの昔の写真と今の写真を比べて言ったり、職場で「●●さん、だいぶ劣化したな」なんて言ったり。
どうでしょう、この「劣化」。かなり暴力的な言葉じゃないでしょうか? 女性のルックスのことを「劣化」とあげつらうのは、
1.人の見た目のことをあれこれ言うデリカシーのなさ
2.上から目線でジャッジしている傲慢さ・幼稚さ
3.「モノ」が「古びた」ような言い方をする非情さ・視野の狭さ
と、三重の意味でアウトです。フォローの余地はありません。
そもそも、女性は生きているだけで常に男性からの視線にさらされています。男性は女性を、ひとりの人格としてではなく「性的なモノ」として見る傾向が強い。だから平気で街中の女性をジロジロ見るし「劣化した」だの「オバサンになった」だのと遠慮なく評価するわけです。
パートナーがテレビの中の女優のことを、上司が職場の同僚のことを、「劣化した」とディスるのを聞くと「私たちは見られている」という事実を思い出す。だから横で聞いてるあなたも居心地が悪くなるのです。そして「私もいつかそんなこと言われるのかな?」と不安になってしまうわけです。
相手の顔をじっと見つめる
ですがここで「男性だって劣化するじゃないですか」「そういう自分は何様なんですか?」などとかみついても、空振りに終わるでしょう。相手のレベルに合わせてあげる必要はありません。そういうセリフは心の中でつぶやくにとどめましょう。
それよりもおすすめなのは、そんなことを言った人の顔をじっと見る、という作戦。そうすると、普段「見られ慣れ」ていない相手はきっと動揺して「え、何? 何?」とうろたえるでしょう。そしたら「なんでもないです」とかわせばOK。その話題は尻すぼみに終わるはず。
まあ、絶対伝わらないとは思いますが「『一方的に見られる』という感覚を少しは味わえ!」というメッセージを発することもできて、内心スッとするはずです。