予定はスケジューラーでの開放が効率的

「人間にとって必要な不要不急」と「人間にとって必要でない不要不急」で言うと、メモ帳は後者の方だ。実利的にはぜんぜん意味がないと思う。

前述した知り合いたちの著作のように、メモ術を説いた本にも、いいものはあると思う。それが読者のビジネスの質を高めるのに役立つなら、結構だ。

実業家の堀江貴文さん
撮影=的野弘路

でもそれって、メモを使わなくても、できるんじゃない? と僕は考える。

「ほぼ日手帳」は、便利だというなら買ってもいいけれど、「スケジュール管理を見える化して効率よく生きることが上手な自分」を演出したいのが目的だったら、ムダな出費ではなかろうか。

僕がメモ帳を使っていたのは、もう20年以上前だ。ライブドアの前身となるウェブ制作会社を起業して、毎日スケジュールに追われていた。創業2年目くらいまでは、予定管理のためにメモ帳を利用していた。

しかし、3年目に自分たちで社内用のスケジューラーを作りあげた。「iモード」のシステムを使ったツールで、外出先からもチェックできた。自前のシステムで充分、スケジュールを管理できたのだ。

後に共有のスケジューラーを開放して、社員たちが僕のスケジュールを自由に組んでいけるようにした。現在はiPhoneにもともと入っているカレンダーにGoogleカレンダーを同期させ、スタッフにスケジュールを開放している。

スケジュールを整えるのに、メモ帳はいらない。

不要不急の用事がいつ、どんなタイミングで入ってくるのかわからないのだから、スケジュールを開放しておくのが最適だ。逆に言うなら、メモ帳でスケジュール管理しているうちは、まだまだ遊びが足りなかったり、行動の余白が埋めきれていない証拠なのだ。

メモなんかに頼らず行動に熱中しよう

メモは、めったに取らない。大事なことは必ず記憶しているから。つまり記憶からこぼれてしまうようなワードや案件は、僕にとって重要ではないのだ。

堀江貴文『破戒のススメ』(実務教育出版)
堀江貴文『破戒のススメ』(実務教育出版)

たまにメモを取っても、まず見返さない。家のタンスの奥にしまってある、着なくなった服みたいなものだ。気まぐれにタンス整理していたとき「あ、こんなの残ってたっけ」と、気づいたりするくらいで、特に大事ではない。

たくさんの情報をインプットすれば、脳の中は新しい情報で急速にアップデートされていく。その加速運動においていかれるようなメモワードは、捨てていい。

すごいビジネスアイデアを思いついたからメモする、トラブルの処理方法がわかったのでメモする、という人もいるだろう。しかし、それが後になって本当に役立ったことは、ほとんどないんじゃないだろうか。メモしたような内容は時間が経てば、違う価値ある別の情報に上書きされているはずだ。

メモなんかに頼らず、聞いたことはみんな忘れるつもりで、行動に熱中してほしい。そうすれば情報の上書きからすりぬける、強いアイデアや言葉だけが残るはずだ。

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