成功者は遊びのエキスパート

この世は諸行無常。指をくわえてヒマになるタイミングを待っていても、時間は削られていくだけだ。手や足を好きに動かして、すぐ遊び出す。つまり、行動が大事だ。

ひとたび行動を起こしたら、人生は必ず、大きく動き始める。必ずだ。

待っているだけの人に、チャンスは来ない。動いた人には、チャンスの方から、つかみやすいベストの速度で飛びこんでくる。これはライフマネジメントの法則なのだ。

遊びに乗りだし、遊びにハマることで、成功を強く引き寄せる。損得や後先にとらわれない「没頭」によって、オリジナルの感覚や視点が育つ。それが他人と差別化できる、個性を生み出すのだ。

ビジネスで成功した者たちは、みんな遊びにハマるエキスパートだ。

製造業でもサービス業でも、ネット企業でも、創業者たちは口をそろえて「好きなことに夢中になっていたら、お金に困らなくなっていた」と言う。嫌なことを我慢したおかげでお金持ちになれた、という人は、一人もいない。

「失敗したらどうしよう……」と考えないで、好きな遊びに夢中になる。そうした者にこそ、本物の恵みが自然に集まっていくのだ。

自分を主張せず、上からの命令に従っている常識人が、昔はどの分野でも重宝された。だがいまは、常識を破る行動力の持ち主が求められている。コロナ禍では、さらに価値を高めているだろう。

シンプルに言えば、人生のムダをいとわない「ノリ」のいいヤツだ。頭のいいヤツや要領よく仕事をこなせる秀才は、いくらでもいる。でも、ノリのよさで頭一つ抜け出る人は、なかなかいない。ノリよく、いろんな遊びや出会いの場に顔を出すだけで、プラス評価を積み上げられるのだ。

才能と実績は、意欲的に動いていると、勝手に身についていく。

これからは面白い「ノリ」、そして「カオ」「コト」を持っている人が、ビジネスでも恋愛でも、勝ちを総取りできるのだ。

実業家の堀江貴文さん
撮影=的野弘路

「僕はメモや手帳の類いをいっさい使わない」

僕の知り合いであるSHOWROOM代表・前田裕二さんの著書『メモの魔力』が大ベストセラーになった。

他にもメンタリストDaiGoさんの『人生を変える記録の力』や、野口悠紀雄さんの『「超メモ」革命』など、メモ術を説いたビジネス書が近年流行しているようだ。GMOインターネットグループ代表・熊谷正寿さんの「夢が、かなう手帳。」や糸井重里さんの手がける「ほぼ日手帳」などの手帳も、毎年よく売れている。

正直、メモ本ブームに加われないのは少しだけ悔しい。タバコを吸わないので、喫煙ルームでの一服の輪に加われないのに似たもどかしさだ。

愛煙家のビジネスパーソンは、オフィスの喫煙ルームで、同じ愛煙家たちと「最近あの子とどうなった?」とか、「会員制バーの権利がようやく手に入ってさ……」など、その場でしか交わせない話で盛り上がったりしている。他愛もない会話かもしれないが、何か面白いきっかけが生まれる可能性のある空間に入れないのは少し残念だ。

だけど、流行っているからメモの取り方を学ぼうとか、友人のすすめる手帳を買うつもりは全然ない。僕は、メモや手帳の類いをいっさい使わないからだ。