そのため、ソフトウェアや研究開発などの無形資産への投資が、資本としてGDPに計上されるように、これまで何度か計算基準を変更してきました。

今でも改定が続けられていますが、そもそも生産量を測定することを中心につくられた指標であるGDPでは、情報通信産業の進展によって消費者が享受している価値を上手く表現することが難しいという側面があります。

そのような無形資産への投資は日本よりもアメリカの方が進んでいることを考えると、成長会計がアメリカの成長を過小評価している可能性があることに注意しなければなりません。

犯人は「イノベーション不足」

いずれにせよ、日本がアメリカに比して、イノベーションの貢献度が低いということは確かです。

清水洋『野生化するイノベーション:日本経済「失われた20年」を超える』(新潮選書)
清水洋『野生化するイノベーション:日本経済「失われた20年」を超える』(新潮選書)

戦後の日本は、労働の投入量、資本の投入量、そしてTFPの3つの要因(特に資本とTFP)がすべてしっかり成長に貢献し、高度経済成長を実現しました。しかし、オイルショック後には、TFPが減少して、成長の足を引っ張るようになっていたのです。

1990年に入ると、それまで頼みの綱だった資本も減少して、日本経済は「失われた20年」に入ります。労働の投入量、資本の投入量、そしてTFPのいずれも減少しているので、3要素すべてが「犯人」だと考えられます。

ただ、日本の今後を考えると、先に述べた通り、大幅な労働投入量の増加を期待することは難しいですし、資本の投入量を増やすためには、その対象となるイノベーションを増やす必要があります。

つまり、日本が成長を取り戻すためには、やはりイノベーションを再び活性化させるしかありません。ここがキーポイントです。

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