「バイデンに義務化の権限はない」

バイデンによるワクチン接種義務化の発表を受け、サウスダコタ州知事で共和党のクリスティ・ノームは、「(義務化は)憲法違反であり、(中略)連邦政府による押しつけだ」とツイートし、バイデン政権を必ず訴えて義務化の発効を阻止すると述べた。

ノームは9月9日午後のツイッター投稿で、「私の法律チームが、ジョー・バイデンが発表した憲法違反の命令について訴訟を起こすための準備をしている」と述べた。「これは、連邦政府によるきわめて不愉快な介入のひとつであり、決して容認することはできない」

ケンタッキー州選出の共和党下院議員トーマス・マッシーも、9月9日午後にこうツイートした。「バイデンには、ワクチン接種を義務化する権限はない。政府が連邦政府職員や請負業者にワクチン接種を義務付けるなら、議会での採決が必要だ。これは医療的な専制政治だ」

アメリカでは7月はじめから、新型コロナウイルスの新規感染者と入院患者が急増している。9月8日時点で、全米の新規感染者数の7日間平均は14万8563人だ。CDCによると、同日時点での入院者数の7日間平均は1万2156人となっている。

入院者数の増加により、全米の医療機関では重症者の治療にあたる集中治療室(ICU)の病床が不足する事態となっている。一部の医療機関では、治療を制限する必要が生じており、緊急性のない外科手術や、ほかの救急治療を求める患者の受け入れを拒否するところもあると報道されている。

(翻訳:ガリレオ)

バイデン政権による「積極的・包括的な6つの計画」

1.連邦政府職員および取引業者従業員のワクチン接種義務化や、従業員100人以上の企業に対する被雇用者へのワクチン接種の促進などを含む「未接種者へのワクチン接種」

2.ブースター接種に関する情報開示や、効果的な配布モデルの開発などを含む「ワクチン接種者への保護の強化」

3.すべての学校職員へのワクチン接種の呼び掛けや、資金の提供などを含む「学校が安全に開ける状態の維持」

4.在宅での検査の促進のためのキットの増産や、公共交通機関でのマスク非着用者への厳罰化などを含む「検査の増加とマスクの要求」

5.中小企業に向けた資金的なサポートや、中小企業向けの給与補償策の合理化などを含む「国家経済の回復の保護」

6.逼迫している医療機関への支援の拡大や、感染者の重症化を防ぐためのモノクロナール抗体治療の拡大などを含む「コロナ患者へのケアの改善」

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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