巡査部長、警部、警視正…階級は数多い

前項で警視正という階級呼称を使ったので、ここで階級とそれに対応する役職について整理しておく。

階級は巡査から始まり、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監となっている。

ノンキャリアの場合、巡査で入る。巡査から警部までの昇任はすべて筆記試験の成績や勤務成績等の総合評価で決まり、年功序列ではない。ノンキャリアの警察官は仕事と試験に追われる生活だ。

ただ、警部から上の警視、警視正、警視長に昇任する場合には筆記試験はないが、一方でポストに空きがなければ昇任しない。

そして、ノンキャリアの昇任は警視長までだ。警視監、警視総監にはならないというか、なれない。たとえ警視長まで昇任したとしても、その時にはすでに定年年齢の60歳に限りなく近くなっている。そこで定年を迎えることになるから警視監、警視総監にはなることはできない。もっとも警視総監は東京都にある警視庁のトップ、たったひとりだけの階級だ。

高学歴卒でも官僚の道を選ばない人間もいる

目安で言えば都道府県警察の警視正とは大規模署の署長もしくは本部の部長にあたる。県警本部の部長とは本部長のすぐ下の職位だから、県の治安を預かる大きな権限を持つ。ノンキャリアで入って都道府県本部の部長まで行けば大したものと言えよう(図表3)。

なお、東京大学、京都大学を出ても地方採用として警察組織に入る人間がいるのは自分が生まれた町の治安をよくしたい、加えて、現場で犯人を追いかけたいというふたつの気持ちが主ではないかと思われる。

警察庁で法律を作ったり、管理職になるよりも「オレは一生、現場の刑事として事件を解決したい」という人の気持ちはよくわかる。刑事は休みも少ないし、大変な仕事だけれど、人のために尽くす仕事だ。やりがいという意味では命を救う医師、消防士に匹敵する。