中身の薄い会議を改善するための成功の秘訣

ある事例をご紹介しましょう。職場から無駄な会議を一掃したケースです。

彼は毎週のように開かれる中身の薄い会議に疑問を持ちました。それに気づいた彼は「何の意味があるんですかね?」と先輩に毒づいていたんですね。しかし、その会議がお互いのコミュニケーションを図ることを目的としていることと、上司が部下の状況を把握することに役立っていることに気づきました。

そこで彼は先輩と相談を重ねつつ、懇親を目的とした場と、物事を決定する会議を別にすることを思い立ち、その先輩を巻き込んで上司に提案してみたのです。この「先輩を巻き込んだ」というのは彼の成功の秘訣ひけつだったんですね。1人で提案するよりもより効果的に物事が進みますから。

そこで、懇親を目的とした場として「朝礼」を提案し、毎週月曜日か火曜日の朝、それぞれの状況について報告する場を設け、会議は議題が上がったときにのみに開催するようになったのです。

その朝礼では、公私を含めた今の自分の状況を部員それぞれが発表する場となりました。はじめはぎこちなかったものの、上司自ら最近の夫婦ゲンカによって小遣いを削減された話を面白おかしく暴露するなどして徐々にオープンな場となり、ある人は婚約を発表し、ある人は親の介護について告白する場ともなり、以前よりもずっと部内の風通しがよくなりました。その一方で、会議は短時間で目的を持ったものとなり、それまでのような数時間もだらだらと続くことはなくなったそうです。

周囲を巻き込むと思いがけない道が開ける

彼はその後も、まわりを巻き込みながらさまざまな提案を通していくことに成功し、1年後にはその部署の業績が上がり、職位も年俸も一気に上がりました。今では、ほかの部署も、彼らのやり方を取り入れるようになり、全社的な変化を生み出しているそうです。

ビジネス人材
※写真はイメージです。(写真=iStock.com/SunnyVMD)

社会人としての反抗期もやり方次第によっては会社そのものを変えるきっかけになるのです。もちろん、1人で孤軍奮闘する必要はなく、自分の意見に耳を傾けてくれる先輩や同僚がいてこそ成り立つのです。

このことは冒頭でもお伝えしたように、恋愛や夫婦関係にも言えることです。急に冷めることや、これまで溜まっていた不満が爆発するときがあるでしょう。そこで一気に解消する前に、もう一度冷静に関係性を問い直せば、また、周囲の人たちに相談することで、思いがけない道が開けることもあるのです。