コメダ珈琲店のほとんどがフランチャイズ店舗

コロナの影響を受けているにもかかわらず、どうして営業利益率19%という高収益を維持することができたのでしょうか? その答えはコメダHDのビジネスモデルにあります。

コメダHDの売上高の内訳を確認すると、主な収入源は「卸売り収入」ということがわかります。それでは、コメダHDは誰に対して卸販売をしているのでしょうか?

その答えはフランチャイズ店舗です。実はコメダ珈琲店の大半はフランチャイズによる出店が中心であり、コメダHDは自社でほとんど直営店を保有していません。コメダHDのグループ全体数の914店舗のうち、自社で保有している直営店はわずか50店舗程度です。

従って、出店の大半はフランチャイズ店舗であり、このフランチャイズに対して商品を卸売りするというビジネスがコメダHDのメインの収入源となっています。つまり、コメダHDのメインの販売先は、われわれ一般消費者ではなく、一般消費者に対して商品を販売するフランチャイズ店舗となります。

コメダHDの出店形態
図表=筆者作成
コメダHDの売上高内訳
図表=筆者作成

コメダの高収益を支えている“仕組み”

コメダHDがフランチャイズに対して卸売りを行うビジネスを展開していることを解説しましたが、どうして高収益を維持することができたのでしょうか? その答えは低い損益分岐点に理由がありました。

コメダHDは自社で店舗を保有せず、フランチャイズ出店が中心の出店形態を採用しています。従って、賃料や人件費、水道光熱費の負担が、直営中心の飲食業態よりも圧倒的に低くなります。

コメダHDの2021年2月期の連結損益計算書を見てもわかる通り、賃料や人件費などが反映される販売費および一般管理費(販管費)の割合はわずか16%と、飲食業態の中でもかなり低い水準となっています。

コメダホールディングスの財務諸表
図表=筆者作成

固定費は販売量に関係無く発生するコストが中心となっているため、臨時休業や時短営業で客数が減少したとしても、変わらずに一定額発生してしまいます。

そのため、直営店が中心の通常の飲食業は、固定費を賄うだけの販売量を維持することができずに赤字に陥ってしまうケースが今回の決算を見ていても少なくないです。

一方、コメダHDは自社で直営店をほとんど保有しないため、固定費が非常に低いという特徴があります。固定費が少ない程、損益分岐点が低くなり、売上高が減少しても黒字を維持することが可能となります。

損益分岐点:イメージ図
図表=筆者作成