実は難問? FIRE実行後の「生きがい」探し
普通のリタイアでも自由時間は約11万時間。FIRE後は2倍に
現役時代の自由時間と、普通の老後に待っている自由時間はどちらが長いでしょうか。
現役時代、平日3時間、週末に12時間の自由時間があるとします。年金生活に入ってからは毎日が12時間の自由時間です。
22歳から65歳まで働くとして、現役時代の自由時間は概算で8.7万時間です。これに対し、標準的な老後(女性の65歳平均余命25年で計算)は10.9万時間もあります。過ごす時間は現役43年に対し老後は25年とずいぶん短いようですが、自由時間については老後のほうが多いわけです。
年金生活に入った人がよくいう自虐ギャグに「サンデー毎日」という言葉があります。毎日が日曜日になって、あまりにも時間が多くやることがないというニュアンスです。
あなたがFIREに入るということは、この「毎日が日曜日」の生活を何年も早くスタートすることです。
5年のプチFIREをしたら、現役時代7.7万時間、FIRE後13.1万時間となります。50歳でFIREしたら、現役時代5.7万時間、FIRE後17.5万時間となります。
40歳でFIREできたとしたら、なんと現役時代3.7万時間、FIRE後21.8万時間となります。アーリーリタイア後の自由時間は、標準的なリタイアの例と比べて2倍にもなります。
FIREすることは、たくさんの時間をもてあますほどに手にするということです。あなたはこの圧倒的な自由時間をどう過ごすでしょうか。
生きがいのないFIREはただの仕事からの逃避
一見すると自由時間が無限のようにあるなんて夢がある話のようです。あるいは「何をやるかは、FIREしてから考えればいいよ」と思うかもしれません。
しかし、生きがいを見つけられずFIREに踏み切ることには一抹の危うさがあります。
数日、あるいは数週間程度の「何もしなくていい時間」は快楽です。おそらく昼寝をしては、3時頃から缶ビールを空け、サブスクで映画を見てはその気持ちよさに浸ることでしょう。普通の会社員生活ならGWや夏期休暇がそんな感じです。
それも何日か続けるうちに「この生活をこのまま続けるのだろうか」と恐怖が訪れます。私の父親は67歳まで働いてリタイアしたのですが、最初の1年悩んでいたのは「日暮れまで缶ビールを空けずにどう過ごすか」だったそうです。
では夜になるまで何をして過ごすか。自分なりに毎日どう過ごすかアイデアを出せるでしょうか。缶ビールを前に日暮れを待つのがFIREの末路なら、これは悲しいことです。