今、話題の「FIRE」は、現役時代にまとまった資産を形成して早期リタイアし、その後は、投資で年4%の収益を得ることで一生涯安泰という夢のような生活だ。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は「やる気と戦略があれば年収25年分の資産をつくることは可能ですが、現役時代にFIRE実行後の“生きがい”探しもしなければ、あとで膨大な自由時間を持て余すことになる」と指摘する――。
※本稿は、山崎俊輔『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
ビジネスパーソン憧れの悠々自適「早期退職」の意外な落とし穴
「FIRE(ファイア)」という言葉が今流行の兆しをみせています。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略です。日本語に訳せば、「経済的な独立と早期退職」というところでしょうか。
具体的に言えば「(現役時代に)年収の25年分を資産形成」し「(リタイア後も)年4%の収益を得て取り崩す(4%ルール)」ことにより、資産は減らずに一生涯の経済的安定を確保したリタイア生活が可能になるとされています。日本円で仮に年400万円で暮らすとすれば、1億円を確保すればFIREが達成できる(1億円×4%=400万円)ということになります。
本気で目指す場合、ポイントとなるのは「何歳でリタイアするか」という目標設定です。実現性の高さの順に、年金が支給される65歳より5歳早い60歳でのリタイア(プチFIRE)、50歳代でのリタイア、40歳代でのリタイアがあります。
果たして「年収の25年分を資産形成」ができるか。そこが最大のハードルですが、FIRE実行後の「生きがい」探しもまた悩ましいのです。