寝つきの悪さは、どうすれば改善できるのか。早稲田大学先進理工学研究科の柴田重信教授は「睡眠の悩みは食事で改善できる場合がある。たとえば朝食でタンパク質をたっぷり摂れば、夜間のメラトニンの分泌量が増加して睡眠が改善することが知られている」という――。

※本稿は、柴田重信『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』(ブルーバックス)の一部を再編集したものです。

ベッドサイドの読書灯
写真=iStock.com/Viacheslav Peretiatko
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いくつかのアミノ酸に睡眠改善作用が知られている

最近、食品や食品成分で、体内時計に作用する可能性があるものが、報告されつつあります。

ただ、機能性表示食品の分類では、体内時計の変調を改善する作用を表示することは認められていません。一方、睡眠に対する表示は認められていて、機能性表示では睡眠改善効果となっています。もちろん、体内時計は入眠や起床など睡眠行動を強く支配しているので、食べたものが体内時計に作用し、結果的に睡眠の改善が期待できることもあるでしょう。

実際いくつかのアミノ酸に、睡眠や体内時計に対する作用が知られています。そのなかで、ここではグリシン、トリプトファン、L-セリン、γガンマ-アミノ酪酸(GABA)、テアニン、オルニチン、ヒスチジンなどのアミノ酸について、またそれ以外の食品成分や化合物、生薬についても解説していきます。

マウスの実験においては、いろいろな食品や食品成分あるいは漢方薬などが、時計遺伝子発現に影響を及ぼすことが報告されています。一方で、ヒトを対象とした研究においては、体内時計に影響を与えると明確にわかっている食品類はまだ少ないのですが、わかってきているものもあり、少し紹介したいと思います。図表1に、以下の食品成分の働きをまとめています。