②他人に期待しないで、自分が動けばいい

まわりを動かそうとしても動かないことってありますよね。勝手に相手に期待して、期待通りに動かないと失望してしまう……。だいたいの場合は思った通りには動いてくれないのだから、他人に期待しないで、自分が動けばいい。自分が一生懸命にやっていれば、仲間が動いてくれることもあります。

相手にベクトルが向いた状態で過剰に期待していると、思い通りにいかない時にストレスを溜めてしまいます。逆に、常にベクトルが自分に向いていれば、相手が仮に自分の思った通りに動かなくても、「そういう時もあるよね」「大丈夫、大丈夫」という気持ちで相手に接することができますし、次のステップにも踏み出せると思います。他人に期待しすぎてしまうと、その分現実とのギャップがストレスになり、自分を苦しめます。

たとえば海外に行く前の僕は、自分がどうスパイクを打つのかにフォーカスできていませんでした。それなのにトスを上げる選手には「こういうトスが欲しい」と伝えもせず「うまくいくよ」とばかり言っていたのです。表面上はうまくいっていましたが、実際のプレーでは結果につながらず、そのことは僕にとって悩みのタネでした。要するに、自分のプレーにフォーカスしていなかったのです。

その心のクセに気づいて修正して以降は決定率も上がり、いいトスをもらったら「ありがとう」と言うようになりました。

③他人の評価を気にしない

何かに挑戦する時に「失敗したらまわりに笑われるのでは?」と怖くなったら、それは自分にフォーカスできていないのかもしれません。

僕自身、海外に挑戦する時は不安も当然あったのですが、「つらくて帰ってきたらまわりはどう評価するかわからないけれど、評価されることを求めて海外に行くわけではない」「自分なりに頑張ればいいだけで、他人からの評価は、それはそれで別の話」と、ある人から言われて心が軽くなったのを覚えています。

集団の中で一つだけ赤く塗られた人形
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
※写真はイメージです

「帰ってきても逃げているわけではないんだ」と思えたことで、肩の力が抜けた状態で海外にチャレンジすることができました。「自分がどうするのか」ということだけに集中すれば、余計なストレスは感じにくくなります。

④「きつい」という言葉を口にしない

僕は、国内ではVプレミアリーグのサントリーサンバーズ、海外ではドイツ・ブンデスリーガ1部のバレーボール・ビソンズ・ビュールとユナイテッド・バレーズ、ポーランド・プラスリーガのクプルム・ルビンでプレーしてきたほか、日本代表のキャプテンも務めました。

どのチームにいるときでも、僕には心がけてきたことがあります。それは仲間に苦しんでいるところを見せないということです。練習中に「きつーい」くらいは言ったりしますが、本質的にきつい時は言わない。「本当にもうダメ」なんて絶対に口にしません。

チームが勝てない状況が続くと、苦しくてみんなが下を向いてしまいますよね。大事なのはそこで一緒になって下を向かないこと。ネガティブな気持ちをみんなで共有したところで、状況がよくなるわけではありません。

試合に負けてしまって、「もうバレーボールのことなんて考えたくない」という日こそ、人と話をする機会を作っています。

日本人は、負けたら自粛したり、部屋にこもっておとなしくしていたりと、悪いことを引きずる傾向があります。考え方は人それぞれですが、僕としては、どんちゃん騒ぎをするわけではありませんし、少しでも話して次のことを考えやすくしたいのです。