外国人観光客でも気持ちよく走れるドイツの道路
日本では考えられないようなハイスピードで合法的に走ることができるアウトバーン(自動車専用道路)を持つドイツでは、日本人がレンタカーで走っていても気持ちよくスムーズに走れる。それはどのクルマも親切だからだ。
例えば、道に迷って急な車線変更が必要になってウインカーを点けても、隣の車線のクルマは間を開けて入れてくれる。日本ならアクセルを踏んで加速して「自分の前には入れないぞ」という意地悪されることがあるが、ドイツではそうした経験をしたことがない。
混雑した道で合流する場合でも混乱することはない。ドイツでは交互に合流することがルールになっている。もし交互に合流しないためにぶつかった場合は、順番を守らなかったドライバーが100%の責任を負う。日本の保険屋さんのようにどちらも動いていたので6:4ですとか9:1ですなどということはない。ルールをしっかり守らせるために、優先順位が明確になっている。
先日テレビのワイドショーで見たあおり運転のドラレコ映像は、ホーンがきっかけだった。なお、テレビではクラクションと言っていたが、これはフランスの警笛メーカーのブランド名だからふさわしくない。ここでは、道交法で示される「警音器」を意味する「ホーン」を使う。
あおられるきっかけとなった“クラクション”
映像では、幹線道路を走るA車の前に右側の道からB車が出てこようとして、それに対してA車がホーンを鳴らした。B車はブレーキをかけてセンターラインを越えたところで止まり、その左側をA車がすり抜けていった。そのあとB車はA車を執拗に追い回すあおり運転を繰り返した。
筆者はこの映像を見て、A車がホーンを鳴らしたタイミングが悪いと思った。B車が横道から出ようとしたときにホーンを鳴らすのならまだ理解できる。事故などの危険を回避するためのホーンは合法的でもあるから。しかしA車がブレーキをかけてB車がほぼ前にいる状態のときにホーンを鳴らしているのだ。B車が右折で無理な進入の仕方をしたのは確かだが、A車が軽いブレーキをかけてもう前に入りかけていた状態なのに威嚇か憂さ晴らしのようなホーンの鳴らし方をしたのだ。
このケースは、あおられるきっかけはA車のホーンだった。A車はブレーキを踏んで、それも急ブレーキでもないし、そのままB車が前に入って走れたはずなのに威嚇のようなホーンを鳴らすことがB車の怒りのスイッチをオンにしてしまったのだ。
ホーンを鳴らすことは、余程危険が迫ったときだけにしたほうがいい。クルマのホーンの音量はかなり大きい。もし挨拶がわりに「プッ」と鳴らしただけでも、歩行者がそばにいるときならビクッとして驚くことになる。ましてや威嚇のために使うとリスクのある行動になり、あおり運転のきっかけを作ってしまう。