資産がある人にとっては、金利は高いほうがいい。資産が富を生むからだ。しかし政府が暗い顔をして金利を上げたら、いくら富が増えても身構えて貯蓄に回されてしまう。クリントン元大統領のような明るさが大事なのだ。

かつて30兆円産業といわれた一大娯楽・パチンコも、最近はファン離れが。(PANA=写真)

かつて30兆円産業といわれた一大娯楽・パチンコも、最近はファン離れが。(PANA=写真)

この20年の日本人の心理的な冷え込みを如実に示しているのが、娯楽産業の数字である。かつては30兆円産業といわれたパチンコが今や20兆円を切り、ピーク時には4兆円あったJRA(日本中央競馬会)の売り上げは2兆円台に落ちている。

パチンコや競馬から離れていったファンを少しでも取り戻すにはどうしたらいいか。私だったらパチンコ屋や競馬場というロケーションに関係なく、スマートフォン経由でパチンコや公営ギャンブルが楽しめるようにする。すべてがスマホに吸収される世の中、公営ギャンブルもスマホに開放するのだ。

将来に借金してまでバラマキ政策をしても、国民の将来不安が募れば何の意味もない。頭のいい政府であれば、お金を使わずとも創意工夫次第で国民心理を動かせる。日本のように規制だらけの国では規制撤廃が一番手っ取り早い。

たとえば今、全国的に空き家が増えていて、多い県では空き家率が15%以上ある。これを自治体が整備して、バケーション用の別荘のように貸し出せる管理運用会社をつくる。風光明媚な場所にある物件などは大いに流行るだろう。ヨーロッパやアメリカで冬季にはサンベルト(米南部の温暖な地帯)に民族の大移動が起こる。日本でも冬の間には雪国から南国に数カ月単位で人が動くようになるだろう。

このように、眠っている資産を刺激するだけで経済は活性化できるのだ。そうした小さな(しかし楽しい)アイデアをたくさん積み重ねて国民心理を盛り上げていかなければ、「失われた20年」から脱出することはできない。

※すべて雑誌掲載当時

(小川 剛=構成 PANA=写真)